Recent Technical Articles
  • 産業機器: ブレをなくすライト:マシン・ビジョン向けLEDライティング制御デザインの考察

     写真家ならば、芸術的観点から、被写体のブレは意図的なものだったと主張することはよくあるでしょう。しかし、画像ベースの自動検出、品質管理、および工場のオートメーションやロジスティクスにおけるコードの読み取りといった、マシン・ビジョンのユースケースでは、取得されたすべての画像には、最高の鮮明さが求められます。

    マシン・ビジョン向けの画像

    それは、被写体の動きがあるかないかの問題ではなく、動きの速度(v)と画像取得に求められる鮮明さの問題です。

    ピクセルのブレが1ピクセル以下というのは、動きを止めるための最適なアプローチです。これは、露出時間(tE)を短くするか、カメラのシャッター、ストロボの点灯時間を制御する、あるいはその両方の方法によって実現できます。等式1をご覧ください。

     ここで、tEは、ある大きさの視野(FOV)とピクセル数(NP)の1ピクセルのブレを達成するために必要な露出時間を示します。図1のように、FOVとNPは両方とも…

  • アナログ: JFET入力アンプを高速アプリケーションに使用する利点とは

    電圧帰還アンプは、トランジスタの種類、すなわちバイポーラ、CMOS、JFETのいずれを搭載するかによって分類されることがあります。少数ながら、複数の種類のトランジスタを組み合わせ、各増幅段階でメリットを引き出そうとするアンプもあります。たとえばJFET入力アンプは、JFETを使用した入力差動ペアを搭載し、非常に大きな増幅入力インピーダンスを得た後、ゲインと出力の段階ではバイポーラ・トランジスタを使用します。

    JFET入力アンプは、アナログ・フロント・エンド、電流センス・アンプ、ADC(アナログ・デジタル・コンバータ)ドライバ、変換器、フォトダイオード・トランスインピーダンス・アンプのテストや計測、あるいはマルチプレクサを介したマルチチャネル・センサ・インターフェイスとして使用されます。この記事は『OPA 2810』を例に挙げ、上記のようなアプリケーションにJFET入力アンプを使用する利点をご紹介します。『OPA 2810』は、110MHz…

  • アナログ: TINA TI によるオペアンプ回路設計入門

     アナログシグナルチェーンの基本素子とも言うべきオペアンプの基本理論と応用回路技術の習得をを目的とします。本格的な電子回路シミュレーション・ツールである  TINA TI を自分の手で実際に動かすことで直感的な理解が得られるよう工夫しています。TINA TI  (Ver. 9.x) のインストール方法と基本操作方法については下記のリンクを参照して下さい。

        SPICE ベースのアナログ・シミュレーション・プログラム

        クイック・スタート・ガイド ( TINA TI 操作入門 )

     この連載はオペアンプ回路を扱います...

  • オートモーティブ: 車載ゲートウェイ:通信ドメイン間のブリッジ

    クルマはController Area Network(CAN)、Local Interconnect Network(LIN)、FlexRay、Media Oriented Systems Transport(MOST)、イーサネットなどの通信プロトコルを使用して、さまざまな電子制御ユニット(ECU)間の通信を行っています。例えば、ボディ・コントロール・モジュール(BCM)はLINを使用して雨センサと通信しています。同様に、オンボード診断スキャン・ツールはCANまたはイーサネットを使用して車内の複数のECUと通信しています。

    こうしたECUは、通信やデータ交換のために異なるドメイン間やプロトコル間でブリッジを行う方法を必要とします。ここで役割を果たすのがゲートウェイです。図1が示すように、ゲートウェイはさまざまなECUを接続し、意図した受信者にデータを転送する前に、そのデータをあるプロトコルから別のプロトコルに変換します。

  • アナログ: オペアンプ向けの完全なシミュレーション・テスト・ベンチ Part 1:出力インピーダンス

    迅速性が求められる一方で、より高まる性能要件に対応するためには、最初から適切な回路設計を行うことが重要であり、アナログおよびミックスド・シグナル業界の多くのエンジニアが、設計の成功率を上げるためにシミュレーションを活用しています。しかし、回路シミュレーションの精度は使用するモデルによって決まります。重要度の高い設計では、データシートで保証されている仕様にモデルが一致しているかどうかを確認することが大切です。

    この一連の記事では、すべての主要オペアンプ仕様やそれらがアプリケーション性能に影響する仕組み、テスト回路設計を支える手法など、オペアンプ用の包括的なシミュレーション・テスト・ベンチを提供します。

    開ループ出力インピーダンス – Zo

    最も重要(にもかかわらず見落とされがち)なオペアンプ特性の1つが、開ループ小信号AC出力インピーダンスであり、小信号安定性解析を実行する場合や、アナログ/デジタル・コンバータ(ADC…

  • オートモーティブ: 温度センサを利用して自動車のトランスミッションを保護する方法

    自動車メーカーが、利便性と快適性に優れ、高い性能と燃費を誇る車両を消費者に提供することを目指しているなかで、自動車業界は次々に新たな技術を導入しています。技術革新として目立つものは、車内環境、およびインフォテインメント・システムの一部にありますが、自動車パワートレインにも、車両の操作性や性能、燃費を改善する大きな改良点があります。

    現在、消費者にとっての一般的なパワートレインの選択肢は、マニュアル・トランスミッション(MT)かオートマチック・トランスミッション(AT)のどちらのクルマを買うかという点にあります。運転そのものを楽しみたい人は、MTを選ぶ傾向にありますが、ATの方が便利なため、一般的となっています。ATは、車載処理機能を要する大型で複雑なシステムであり、あらゆる運転条件下で作動しつづける必要があります。

    ATは、車両のエンジンが生成した動力を受け取り、運転の要求に基づいて異なるギア比に配分することで作動します。それぞれのギアの目的は…

  • DLP®︎ テクノロジ: AR HUDの設計の課題:太陽光負荷の理解と管理

    拡張現実(AR)ヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)は、自動車産業において、注目すべきトピックのひとつです。この技術は、自動車メーカーやティア1サプライヤが積極的にARフロントガラスHUDを開発するところまで進んでいます。

    実用的なARディスプレイは、最低でも10度の広い視野(FOV)と7.5メートル以上の仮想イメージ距離(VID)が求められます。FOVはディスプレイの大きさを角度で表し、VIDはイメージが投影される距離を示します。車載HUDでは、VIDはイメージが道路上のどれぐらい先に表示されるかを示します。

    デジタル情報を現実世界の上にオーバーレイするAR技術を活用し、ドライバーの状況認識を向上させ、また、FOVがより広く、仮想イメージ距離がより長くなるほど、運転体験は改善します。

     図1:ARディスプレイの事例

    ARディスプレイの設計における2つの大きな課題は、「輝度」と「太陽光負荷」です。ARディスプレイは、可能な限り広く明るくする必要があるため…

  • DLP®︎ テクノロジ: AR HUDにおける彩度と色域の重要性:TI の DLP 車載用テクノロジ

    拡張現実(AR)ヘッドアップディスプレイ(HUD)などの車載アプリケーションでDLP®テクノロジの人気が高まっています。その大きな理由の1つが、明るく、鮮やかな色彩を提供できるという点にあります。AR HUD(図1参照)において色彩がどのような役割を果たしているかについての理解を深めるために、「彩度」と「色域」という考え方をご紹介します。

     図1:AR HUDの例

    「彩度」は、画像内の色の鮮やかさを示します。図2を見ると、どちらの色の彩度が高いかすぐにお分かりいただけるでしょう。彩度が低ければ低いほど、ぼんやりとくすんで見えます。彩度とは、ある色がどれだけ純色に近いかを示すものであり、その複合波長によって色が定義されます。色の彩度が最大の場合、そこには1つの波長だけが含まれることになり、純色であるとみなされます。実際には、彩度が高くなればより明るく見えるという仕組みは、ヘルムホルツ・コールラウシュ効果によって説明されます。彩度に関するもう1つの興味深い側面は…

  • オートモーティブ: ドライバーの視野を拡大する最新カメラ・モニタリング・システム

    ミラーに映った像は、実物よりわずかに歪んで見える性質があります。そのため、バックミラーに映る物体は見た目よりも近いところにある、という事実はドライバーに対して長年言われている安全警告です。このような制約があるものの、ミラーはドライバーがバックしたり、車線変更をしたりする際に不可欠なクルマの装備品です。しかし、現在の先進運転支援システム(ADAS)は車載カメラを利用し、運転席からさらに広い視野をドライバーに提供することで、ミラー以上の機能性を備えています。

    Eミラー、あるいはスマートミラーとも呼ばれるカメラ・モニタリング・システム(CMS)は、ミラーの機能をカメラとディスプレイを用いて提供するよう設計されています。バックミラーを覗き込んだら、車両の後ろ側がパノラマ表示されているイメージです。サイドミラーには、隣の車両が高解像度で表示されます。このほか、死角の検出や駐車支援などの機能も現実になりつつあります。

    ミラーからCMSへの移行の現状を理解することは重要です…

  • 電源 IC: ロボット掃除機の充電でディスクリート・ソリューションを上回るチャージャICの価値

     技術の発展が進むにつれて、デバイス間の相互接続によるホーム・オートメーションが急速に進んでいます。ロボット掃除機の開発は、ワイヤレス接続とリモート・アクセスによる家電製品を操作する便利さへの着目から始まりました。

    ロボット掃除機は、室内の床を日常的に掃除するようスケジュールを設定し、人間の負担を少なくします���便利さと時間の節約に加えて、これらのコンパクトなロボット掃除機は、従来の重くてかさばる電気掃除機と違い、家具や壁の間や、部屋の隅などの狭い隙間にも簡単に入り込めるので、掃除機をかける労力が軽減されます。

    できるだけ広い範囲の床を掃除できるように、ロボット掃除機はその稼動時間を最適化する必要があります。そのため、ロボット掃除機の設計では、バッテリ充電ソリューションに入念な配慮が必要となります。市場のほとんどのロボット掃除機は、充電用ドックから約19~20Vの入力電圧を得ており、これらのシステムへの給電には再充電可能な4セルのリチウムイオン…

  • 組込みプロセッシング: スマート化だけでは不十分 - 最新のサーモスタット事情

     IoT技術についての話題では、「スマート」という言葉が実に無造作に使われていますが、厳密にはどういう意味なのかと疑問に思う人もいるかもしれません。もし誰かに、「スマート・サーモスタット」の意味について尋ねられたら、次のように説明することができるでしょう。

    • ユーザーが家や部屋に出入りするときにユーザーの行動を学習
    • 液晶ディスプレイ(LCD)、あるいはスマートフォンやタブレットに温度や現地の気象情報を表示
    • 温度、湿度、気圧、周囲の明るさ、空気の質を測るセンサや接近センサなど、さまざまなセンサを感知する機能の搭載
    • セキュリティの脅威から自己防衛
    • バッテリ駆動の場合の低消費電力と、バッテリの交換や充電不要の長期間作動
    • 遠隔の設定や制御を行える機能の搭載

    これは、1つのデバイスにしては多すぎる要求と思われるかもしれませんが、専用のArm® Cortex®-M4アプリケーション・プロセッサと認証済みのWi-Fi®

  • 電源 IC: パワー・モジュールのディレーティング曲線を読み解く

    エレクトロニクス製品がますます小型化するにつれて、設計者が電源を設計する際に、温度の限界を考慮することが必要となりました。より小型の電源でも、特定のアプリケーションにおいて、周囲温度も含む厳しい負荷条件での環境下で動作できないのならば、使えません。

    主要な温度限界の一つは、ディレーティング曲線で表されます。この曲線は大多数のパワー・モジュール製品のデータシートに記載されています。ディレーティング曲線は、様々な周囲温度において、そのパワー・モジュールの規定の動作温度範囲内(通常は+125℃以下)で供給可能な電流、または電力を示しています。図1に、2A出力の『TPS 82140』パワー・モジュールのデータシートに記載された2種類のディレーティング曲線を示します。

     図1:2A出力の『TPS 82140』 パワー・モジュールのディレーティング曲線

    図1からわかるように、入出力電圧の変化に対応して、ディレーティング曲線がわずかに変化します…

  • アナログ: 車載Ethernet 標準規格の重要性

    ここ数年、自動車業界のOEM各社やティア1各社では、Ethernetの採用と適合化を進めています。IEEE 802.3標準規格を、特に自動車向けに修正した車載Ethernet標準規格には、IEEE 802.3bw(100BASE-T1、100Mbps、copper)やIEEE 802.3bp(1000BASE-T1、1Gbps、copper)があります。

    これらの車載Ethernet標準規格は、車内インフォテインメント、ADAS(先進運転支援システム)、オンボード診断機能や、外界へのコネクティビティ(5GやV2X)などの急激な発展によって実現された、自動車業界特有の追加要件や機能を盛り込んでおり、重要です。

    これらの車載Ethernet標準規格は、主にPHY(フィジカル・レイヤ)に対応しています。この影響を受けるPHYインターフェイスは、ネットワークへの電気的なインターフェイスであるMDI(メディア・ディペンデント・インターフェイス…

  • 産業機器: 占有検出器に適した技術:ミリ波とPIRの比較

    たとえば、あなたがスマートオフィスで一人、遅くまで残り、今日最後のメールを書いていたり、集計をまとめようとしていたりするとします。すると突然オフィスの電気が消えました。あなたはモーション・センサが感知するよう立ち上がり手をかざすことで、ようやく電気がつきました。

    上記のような体験をされた方がいらっしゃることでしょう。今日のモーション・センサは、屋内に人がいるときに検知能力が落ちることがあり、またオフィスの椅子に一人腰掛けて静かに仕事をしている場合のように、人がじっとしているときにもしばしば機能しません。現在の受動型赤外線(PIR)または超音波モーション・センサの技術は、机で静かに座っている、電話をかけているときなど、微細な動きを忠実に検知することができません。

     図1:室内にいる人を検知できない、PIRや超音波などの今日のモーション・センサ技術

    ミリ波レーダ(mmWave)は、他のセンサ技術では見逃してしまうとても微細な動作も検知できるため…

  • 産業機器: 産業用システムに役立つ絶縁型LVDS製品

    ご存じのように、絶縁デバイスは幅広いアプリケーションに搭載されています。これらのデバイスは、高電圧から人体や低電圧回路を保護するため、またノイズに対する耐性を高めるため、さらには通信サブシステム間のグラウンド電位差に対応するためなどに使われます。デジタル・アイソレータ、絶縁型CAN(コントローラ・エリア・ネットワーク)やRS-485トランシーバ、絶縁アンプやモジュレータ、絶縁型ゲート・ドライバや絶縁型電源をはじめ、市場には膨大な数の絶縁型デバイスが流通しています。この記事では、数多くの高性能絶縁製品に追加される、新しい絶縁型LVDS(低電圧差動シグナリング)デバイスについて説明します。

    この記事では、以下のQ&Aで、絶縁型LVDSデバイスがお客様のアプリケーションにどのように役立つかも説明します。

    Q: 絶縁型LVDSとは?

    A: 絶縁型LVDSは、通常の差動低電圧信号の送受信が可能ですが、その心臓部には、図1に示すよう…

  • 電源 IC: 電源管理システムの効率を高め、小型化を実現するGaNの技術革新

     現在の2倍の速さで充電できる電気自動車用チャージャ、既存アプリケーションの半分のサイズでより効率の高いモーター・ドライブ、ポケットサイズの小型ノートブックPC向け電源アダプタなどを想像してみてください。電子機器の将来は、電源管理のイノベーションにかかっています。さらに、私たちが日々使用しているインターネット検索では、1つの問い合わせごとに、60ワット電球を17秒間灯せる電気が使用されています。この問い合わせが毎日、数十億回行われたとすると、数十億キロワット時の電力が消費されていることになります。

    エネルギーを効率的に管理し、より多くの電力を、より小さなスペースに収めるという課題は、決してなくなることはないでしょう。窒化ガリウム(GaN)などの新しい技術革新は、電源管理、発電、電力供給など、電力に関連する様々な側面を大幅に改善します。パワーエレクトロニクスにより管理されるエネルギーの割合は、2005年の30%から、2030年には約80…

  • 電源 IC: FPGA電源の簡易化:設計手順

    このシリーズの過去3回の記事では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)用の電源を作成するうえでの、設計上の基本的な考慮すべき点をいくつか説明しました。電源に対する要求の見極めと必要ないくつかの機能および性能仕様が確定しましたので、いつでも部品を選ぶことができます。

    設計経験が浅い場合や時間に余裕がない場合のFPGA電源を簡易化する方法の1つに、電源モジュールを選択するという方法があります。最小限の設計で簡単なソリューションを構築するために、モジュールにはインダクタやその他の受動部品が組み込まれています。TIのモジュールの多くは、入力コンデンサ、出力コンデンサ、出力電圧を設定する抵抗という3つの部品しか必要としません。そのため、電源レイアウトの専門知識がなくても、小型で占有面積の小さい設計が実現できます。

    部品数が少なくなれば、ソリューションが単純化されて設計やデバッグに必要な時間が短くなるだけでなく、信頼性も向上します…

  • 電源 IC: FPGA電源の簡易化:シーケンシング

    電源のレール要件に関する前回のブログ記事はご覧いただけたでしょうか。今回は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)電源設計におけるもう1つの重要なトピックである、シーケンシングについて説明します。FPGAへの電源投入時/遮断時は、特定の順序で電源をオンにする必要があります。実際のシーケンシングの順序はさまざまですが、一般にコア・レールは最初にオンになり、かつ最初にオフになります。電源のオン動作は単調でなければなりません。つまり、FPGAに電力を供給する出力電圧は継続的に上昇する必要があります。最後に、レール全体への電源投入が最初から最後まで完了する時間についての要件があり、通常はすべてのレールが40または50ms以内に95%に達する必要があります。このブログ記事では、3つの一般的なシーケンシング手法について見ていきます。

    最初に紹介する最も単純な手法が、図1に示す抵抗-コンデンサ(RC)シーケンシングです。電源がオンになるとき…

  • 電源 IC: FPGA電源の簡易化:電源レール要件

    このシリーズの第1回では、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)電源設計向けのシステム・アーキテクチャの選択肢と、電力要件の見積もり方法について確認しました。ベンダーのスプレッドシートから各レールの電圧および電流要件を把握したので、次は部品を選択する前に各レールの他の要件を確認する必要があります。この回では、基本の4種類のレールであるコア、トランシーバ、補助、入出力(I/O)の各レールに焦点を絞って見ていきます。実際に使用するFGPAのレールはこの4種類に含まれない可能性もありますが、これらは最も一般的なレールであり、それぞれに異なる要件があります。表1は、各レールの要件をまとめたものです。

     表1:FPGAのレール要件

    まずはコア電源レールから見ていきましょう。一般にコア・レールの電圧要件は低く設定されていますが、大きな電流を必要とします。また、このレールの場合はシーケンシングも重要な課題となります。各レールの要件を正しい順序で満たすには…

  • 電源 IC: FPGA電源の簡易化:システム・アーキテクチャ

    フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)は、医療機器から有線通信、航空宇宙および防衛に至るまで、幅広いアプリケーションで利用されています。FPGAはプログラム可能な回路を提供することによって設計プロセスを簡易化します。継続的な再プログラミングが可能なので、プロトタイプをすばやく作成でき、カスタムの特定用途向け集積回路(ASIC)を作成する必要がありません。FPGAは少量でも比較的安く入手できるソリューションなので、規模の大小を問わず多くの企業で利用されています。ただし、図1に示すように、FPGAへの電力供給には複数のレールが必要なので、電源回路の設計が複雑になる可能性もあります。


    図1:基本的なFPGA回路図

    電流、精度、電圧リップル、負荷変動、シーケンシングの要件はレールごとに異なります。つまり、異なるレール要件をすべて満たすためには、電源設計に複数の電源が必要になるということです。この4部構成のシリーズでは…

  • 組込みプロセッシング: 25セントの低価格で25の機能を提供:タイマ機能

     「もうこんな時間?」とつぶやいている自分に気付いた経験はありませんか。時間を常に把握するのは非常に難しいことですが、幸運にも、MSP430™マイクロコントローラ(MCU)には、まさにそれだけを目的に作られたタイマ・モジュールが搭載されています。キッチン・タイマからホーム・セキュリティ・システムに至るまで、私たちが利用している数多くのアプリケーションの中核を担う機能がタイマです。TIのMSP430バリュー・ラインMCU TechNoteシリーズには、タイマ機能のカテゴリが含まれています。

    このシリーズでは、タイマ・ベースのソリューションをTIの低コスト・バリュー・ラインMSP430 MCUに実装する方法を示しており、MSP430 FR2000には0.5KBのメモリ容量、MSP430 FR2111には4KBのメモリ容量を使用して、すべてのソリューションを実装します。TIのタイマ機能テクノロジを活用したさまざまなアプリケーションを紹介するTechNoteには…

  • 組込みプロセッシング: 25セントの低価格で25の機能を提供:システムとハウスキーピング

     システム内の不揮発性メモリは足りていますか? あるいは低消費電力のキーパッドや外部ウォッチドッグ・タイマを探してはいませんか? このように広範囲に及ぶアプリケーションには互いに関連性が見出せないかもしれませんが、これらはすべて、コスト効果の高いMSP 430™強誘電体ランダム・アクセス・メモリ(FRAM)マイクロコントローラ(MCU)を使用して実現できるアプリケーションです。

    従来型の設計では、EEPROM(Electrically Eerasable Programmable Read-Only Memory)や外部ウォッチドッグ・タイマなどの機能がそれぞれ専用の集積回路(IC)によって実装されており、コストや複雑さ、使いやすさに大きなばらつきがあります。TIでは、MSP 430バリュー・ラインMCUを使用して同様の機能を実現できるという認識のもと、単純な機能にインテリジェンスを付与する方法を説明したシステムおよびハウスキーピングTI…

  • 電源 IC: Power Stage Designerで設計を開始する10以上の理由

    2011年以来、TIのPower Stage DesignerTMは、異なる電源トポロジの電流と電圧を計算する際にとても役立つデザイン・ツールとして、多くの電気技師の間で使用されてきました。全ての計算がリアルタイムで実行され、直接フィードバックを得られることから、新しい電源デザインを容易に開始することができます。バージョン3.0から4.0に進化したことで、これまで以上に迅速に電源を設計できる全く新しい機能と3つのトポロジが追加され、これらの機能がツールボックスとして提供されます。

    この新しいツールボックスには...

  • 組込みプロセッシング: コスト重視の産業用アプリケーション向けにタッチ・コントロール機能を提供する静電容量性センシング・マイコン

    容量性タッチという言葉を聞いて、まず頭に浮かぶものは何でしょう?おそらくタッチ・スクリーンではないでしょうか?例えば、最新のスマートフォンやタブレット・デバイス、新しい自動車に搭載される高価な車載インフォテインメント・システムなどが思い浮かぶと思います。日々使用している多くの製品に容量性タッチが使われているのです。

    今日の市場では、製品のデザイン面での美しさがこれまで以上に重視されていることから、スマートフォンの容量性タッチ・スクリーンに使用されている同じ技術が、新しい電化製品や電子ロック、音楽プレーヤーといった、他の製品にも徐々に使用されるようになってきました。容量性タッチは、設計者とマーケティング専門家に、製品のユーザ・インターフェイスや形状、機械構造を再考し、デザインと機能性の両方を向上させる自由を与えてくれます。

    図1は、シンプルな容量性タッチ・インターフェイスを備えたサーモスタットの例です。機械式ボタンが必要ないため、サーモスタットの前面は…

  • 産業機器: 拡大するエネルギー需要に対処するための6つのトレンド

    社会のテクノロジへの依存度がますます高まるにつれ、世界のエネルギー消費量は著しく増大しています。データセンタや車載用、産業用を含む数多くのアプリケーションの利用により、世界の個人電力消費量は石油製品の消費量に迫りつつあります(1)。こうしたトレンドに対応するため、設計者は半導体ソリューションを積極的に活用しており、2016年には世界で8,240億個の半導体製品が購入され、私たちの生活のありとあらゆるところに利用されています。(2)

    こうした製品の設計者が求めているのは、より競争力のある動作を実現しながら、環境に配慮したエネルギー使用に関する法令も順守する電源管理テクノロジです。

    TIでは3年前に、半導体産業において2020年まで影響力を持つことになる、電源およびエネルギー管理の3つの主要トレンドを紹介しました。そのときに示したエネルギー効率、電力密度、ビッグ・データの格納と提供という3つのトレンドは拡大し続けており、2018年においても最重要課題に含まれています…