Recent Technical Articles
  • 電源 IC: アクティブ・クランプ・フライバックのインテリジェント制御

    より小型のAC/DCコンバータを誰もが好みます。特に携帯電話やタブレットデバイス向けAC/DCコンバータはそうです。その簡素な作りから、フライバック・コンバータは、ほんのわずかなコンポーネントで効率的にACからDCに変換できるため、最適なトポロジだと言えます。ただし、トランスの漏れインダクタンスに関連する電力損失により、実用的サイズに制約が出てくるため、フライバックの小型化には限界があります。これまでは、どのデザインも漏れインダクタンスを最小化することで、この課題に対処してきました。しかし、アクティブ・クランプ・フライバックは、この悪循環を打ち破ります。

     図1:アクティブ・クランプ・フライバック(赤は漏れインダクタンス、青はアクティブ・クランプ)

    RCD(抵抗、コンデンサ、ダイオード)クランプやツェナー・クランプにエネルギーを消散することで漏れインダクタンスに対処しようとする代わりに、アクティブ・クランプはエネルギーを蓄え、それを出力に供給します…

  • 電源 IC: より高速なスイッチングを実現するGaNドライバ

    電源IC設計者は、ソリューション開発において高速性能と高性能が絶えず求められ、これまで以上の性能に取り組んでいます。旧世代のソリューションは、LIDARのようなアプリケーションにおいて数百キロヘルツでしか動作できませんでした。一方、より長距離に届き、より正確な測定が求められる新しいプラットフォームでは、5ナノ秒以下のレーザー・パルスを用い、10倍高速で動作することが求められます。

    これまで以上に性能をあげるには、従来とは異なる技術が必要です。最適なパフォーマンスで高速性能を提供するには窒化ガリウム(GaN)を使用するしかありません。しかし、GaNの能力を十分に活用するには、それに合った周波数レベルを扱えるドライバが必要になります。

    各伝送点でパワーアンプの効率を最大限に高める重要な方式である、5Gエンベロープ・トラッキングのような、次世代の電気通信インフラでは超短波が不可欠です。図1は、GaNを使用したエンベロープ・トラッキング方式に比べて…

  • 電源 IC: APEC 2018ハイライ��:TIのイノベーティブなパワー・ソリューション

    TIは先月米国テキサス州サンアントニオで開催された「APEC 2018」に出展しました。本記事ではTIがAPECのブースで紹介した、主要なアプリケーションの最新製品や便利な設計支援ツールについてご紹介します。

    イノベーション:
    ・高解像度LIDARレーザー向けナノ秒GaNドライバ
    業界初の小型、高速、高電力密度のGaN FET搭載LIDARレーザー・ドライバは、高解像度の産業用LIDARシステム向けに設計されています。このドライバは、1ナノ秒で100Wを提供し、300メートルの範囲まで届く、目に安全なLIDARビジョンを実現する『LMG 1020』高速GaNドライバを搭載します。LIDAR向けナノ秒レーザー・ドライバの『TIDA 0157リファレンス・デザイン』はこちらからダウンロードできます。

    ・8kW三相双方向GaNグリッド・リンク
    シーメンスと共同開発したこの革新的なソリューションは、三相ACグリッド(400V-480V)とDCバス…

  • アナログ: 車載アプリケーションにおけるLINの役割:24Vバッテリ・システムの過電流保護

    自動車に搭載されるICの数は年々増え続け、ライトやヒーター、センサなどを制御するために様々なモジュールに組み込まれるようになっています。より多くの機能や電子制御を備える、新しい枠組みの自動車設計において、安全性は十分に確保されているか、自動車環境によく見られる過電流にICは耐えられるか、といった課題が生じています。

    例えば、3.3V電源を必要とするマイコンに12V電源を使用すれば、そのデバイスは正常に動作せず、故障が起こる危険があります。同様に、電圧がICの仕様をはるかに上回る、あるいは下回る可能性がある自動車環境にも当てはまります。過電流は、商用トラックやフォークリフト、大型輸送車両などで使用される24Vバッテリ・システムにおいてはより深刻な問題となります。

    世界中のほぼ全ての自動車ではLIN(Local Interconnect Network)プロトコルが使用されています。LINを使用するモジュールはダイオードを介して直接…

  • アナログ: 車載アプリケーションにおけるLINの役割:車内360°ツアーで体験

    自動車の様々な場所に最大80個の個別のLIN(Local Interconnect Network)モジュールが設置されています。このモジュールのおかげで、運転者や同乗者、さらに車内の荷物までが、多くの恩恵を得ていることをご存知でしょうか?私たちの多くは、これらのモジュールの背後に何があるのか知らぬまま日々使用していますが、実は様々な機能の実装に役立っています。CAN(Controller Area Network)バス標準と比較した際、高い安全基準が求められていないアプリケーションに低コストで容易に実装できることから、車載アプリケーションにおけるLINの採用率は高まっています。

    最新の自動車の車内を覗いて、どこにLINを使うことができるのか見てみましょう。下記イラスト画像をクリックすると、車内の360°バーチャルビューが起動し、LINで実現する機能を見ることができます。ページが開いたら、手動でスクロールしながら車内を見回すと、LINが使用されている場所…

  • オートモーティブ: 自動運転におけるAI、実用的なディープ・ラーニング

    近い将来、私たちは人工知能(AI)によって安全に目的地に到着できるようになり、生活はより快適になるでしょう。このような日がいつ到来するのかを正確に予測するのは難しいですが、AIは現在の表層的なものから、より現実のものに近づくと予想されます。

    一方で、ディープ・ラーニング技術を利用したAIの実用化は、一般消費者が利用しやすい自動車の安全システムの進歩において重要な役割を担います。

    ディープ・ラーニングは、数十年前に提唱された概念ですが、現在は汎用コンピューティング・プラットフォームでも利用できる、より現実的な技術となりました。ディープ・ラーニングの「ディープ」つまり「深層」とは、最終結果を得るために各レイヤ間のデータを数学的に処理、フィルタリング、畳み込み、入出力間に適用される隠れたレイヤの数に由来します。視覚システムでは、ワイド・ネットワークよりも、ディープ・ネットワークのほうが、ある事象に何層ものレイヤを適用することで、より一般化した認識が可能になり…

  • アナログ: 末端機器への「ラストワンマイル」を接続するローカル・インターコネクト・ネットワーク

    「ローカル・ネットワーク」という言葉を聞いた時、インターネット、LAN(ローカル・エリア・ネットワーク)やWi-Fi®またはEthernetを思い浮かべる方が多いことでしょう。これらのテクノロジは堅牢で、広範囲にわたって使われていますが、Wi-Fi向けのワイヤレス・トランシーバであれ、インターネット上で各種のアプリケーションを可能にするプロトコルのサポートであれ、無視できないオーバーヘッド(間接的な設備、経費や処理など)が必要になります。

    クルマのような、高度に統合化されたシステムでは、車内の限られた空間内で簡単に配線できるように、低いオーバーヘッドのネットワークのサポートが必要です。膨大な数の電子ノードを、あらゆる場所に展開しようとするなら、ノード単価の削減も重要です。

    これらの点から考えると、車内のすべての制御ユニットを1つのWi-Fiネットワークで接続するためには、全ノードに無線のトランスミッタとレシーバを設置しなければならず…

  • 電源 IC: 反転型昇降圧トポロジによる出力電圧の変更

    今回は、反転型昇降圧トポロジにより可変出力電圧を提供する手法を紹介します。このトポロジでは、図1に示されるようにフィードバック電圧分配ネットワーク上の抵抗の選び方で出力電圧が決まります。

     図1:反転型昇降圧コンバータの構成

    異なる出力電圧を用いるには、異なる抵抗値を使用する必要があります。この時、もし出力電圧が常に変化するなら、面倒なプロセスを踏まねばなりません。これを避けるために、抵抗値を変えずに可変出力電圧を実現する電流注入手法について解説していきます。

    電流注入手法は名前から分かるように、フィードバック電圧分配ネットワークに少量の電流を注入することで、第1フィードバック抵抗に生じる降下を修正し、出力電圧に影響しないようにするものです。最も簡単に電流を注入するには、図2に示すような、直列に配置された抵抗を持つ電源を使用することです。

     図2:外部電源を使用した電流注入手法

    抵抗を持たないフィードバック電圧分配器に電源を直接に接続した場合…

  • アナログ: 容量性絶縁を選ぶ理由:スマート・シティ向けのセンサに不可欠な構成要素

    世界中のあらゆる地域で都市化が進む中、そうした世界的発展の先にあるのがスマート・シティです。スマート・シティを構築するには、地域密着型の送電網、公共事業、気象観測などの主な構成要素間をつなぐ高度なネットワークと通信制御により、インフラのパラダイム・シフトを実現することが必要になります。

    インフラをネットワーク化するうえで基盤となるのはセンサ技術です。センサとは、周囲の環境内に生じる事象や変化を検出し、その情報をコンピュータやプロセッサなどの他の電子機器に送信するデバイス、モジュール、またはサブシステムです。このようなセンサが、たとえば地域密着型の送電網を構成する屋上太陽光発電機のインバータや、HVAC(暖房、換気、空調)システム、住宅や商業用ビル向けのオートメーション・システム、自動化されたコインランドリーや洗車システムといった実際のシステムに接続されていることは、容易に想像できます。

    これらのシステムに共通する要素は何なのでしょう…

  • オートモーティブ: 自動外観検査を容易にするウェッタブル・フランク・パッケージ

    車載アプリケーションの設計は、複数の機能分野を含む非常に複雑な作業であり、相反する要件の優先順位があると、意志決定プロセスが困難になることがあります。その一つがパッケージ型式であり、製品設計のいくつかの側面で多大な影響を与えます。デバイスの電気的特性と放熱特性を確保するほかに、生産性、品質管理や信頼性にも熟慮が必要です。電源管理ICの選択では、リード付きスモール・アウトライン・トランジスタ(SOT)パッケージか、リードなしのクワド・フラット・ノーリード(QFN)パッケージを選ぶ必要が出てくるでしょう。図1 に、各パッケージ型式の例を示します。

     図1. SOT(左)とQFN(右)のパッケージ例

    SOTパッケージは、リードがモールド材料の側面から突き出ていることから、簡素で使いやすく、製造工程での検査も容易です。しかし、長いリードによってリード・インダクタンスが増加し電気的特性が悪化するほか、放熱パッドが無いことで放熱特性の悪化、ソリューション…

  • 電源 IC: 降圧コントローラ用に外部バイアスを供給すべき状況と供給方法 – 第3部

    このシリーズの第1部では、外部バイアスの必要性と、どのような条件下で外部バイアスを検討する必要があるのかを説明しました。第2部では、外部バイアスを任意のコントローラに印加できるのかどうかを説明しました。最終回となるこの第3部では、任意のコントローラ用に外部バイアスを生成するために使用できる回路を検討します。このような回路は、外部バイアスの供給元として5Vバイアス・レールが使用できない場合に役立つことがあります。

    図1では、網掛け部分がバイアス用の外部回路です。Ricは集積回路(IC)に流れる電流を表しています。

     図1:網掛けの枠内に示されている外部バイアス回路

    電流値は動作周波数や選択した電界効果トランジスタ(FET)などに応じて異なるため、外部バイアス回路でこの電流を供給できることを確認する必要があります。

    Iic = (Qg(Q1) + Qg(Q2))*1e-09*Fsw*1e03                              (1)

    では、数値をいくつか代入し、2つの異なる周波数で動作する…

  • 電源 IC: 降圧コントローラ用に外部バイアスを供給すべき状況と供給方法 – 第2部

    このシリーズの第1部では、外部バイアスの必要性と、どのような条件下で外部バイアスを検討する必要があるのかを説明しました。今回は、外部バイアスを任意のコントローラに印加できるのかどうかを見ていきます。

    経験則から、制御電界効果トランジスタ(FET)(ハイサイドFETとも呼ばれます)に対する電流制限のあるコントローラには、外部バイアスを印加できません。つまり、問題は電流制限の実装方法です。

    では、2つの例を見ていきましょう。1つ目のデバイスは、エミュレーテッド・ピーク電流モード降圧コントローラのLM 3495です。一見すると、VINピンへの外部バイアスの印加は可能なように思えます。

    しかし、データシートを読み進めると、「ハイサイドの電流制限」というセクションがあります。コンパレータは、オン時のハイサイドFETにかかる電圧を監視します。オン時のハイサイドFETのドレイン-ソース間電圧が500mVを超えると、LM 3495は即座にヒカップ…

  • 電源 IC: 降圧コントローラ用に外部バイアスを供給すべき状況と供給方法 – 第1部

    マルチレール・システムの設計では、多くの場合、降圧コントローラ用の入力レールとしてどのレールを利用するか選択する必要があります。大抵は12Vまたは24Vレールから供給しますが、5Vまたは3.3Vレールから供給する場合もあります。この3部構成のシリーズの第1部では、外部バイアスを供給する必要性とメリットについて説明します。

    さて、このような場合に考慮するのは、金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)の曲線と、そのMOSFETを最適な条件で動作させることです。また、入力電圧も重要な要因です。ほとんどのコントローラは5Vまたは12Vレールでの使用を想定して設計されていますが、システム設計者が同じコントローラをさらに低い電圧レールで使用するようなケースも多々あります。

    このようなコントローラのデータシートを見ると、VINの範囲に問題はありませんが、3.3Vで動作させた場合に、本当に最高の性能や最大の効率を引き出すことができているのでしょうか…

  • 電源 IC: Xilinx Ultrascale/Ultrascale+ FPGA向け電源ソリューションの簡単な選定方法

    一部のデータセンターや産業用アプリケーションでは、Xilinx® Ultrascale™およびUltrascale+フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)が、その性能と統合能力の高さから、エンタープライズ・スイッチ、サーバーのFPGAアクセラレータ・カード、テストおよび測定といった用途や宇宙、防衛分野に利用されています。

    Zynqマルチプロセッサ・システム・オン・チップ(MPSoC)、Virtex、Kintexといった特定のUltrascale+ FPGAファミリ向けのXilinx FPGA電源仕様を把握するには、図1に示すように、Xilinx Power Estimator(XPE)をダウンロードして使用する必要があります。

    図1:XPEツールのヘッダー

    XPEサイトに移動したら、ご利用のデバイス・ファミリ(Zynq Ultrascale+など)、デバイス部品番号(XCZU9EGなど)、速度グレード…

  • 産業機器: 交通管理を新たに活気づけるミリ波レーダ

    シングルチップのレーダ・ソリューションにより、ハードウェアおよびソフトウェア設計が簡素化され、参入障壁が低下

    交通システムは、世界中で人や貨物をすばやく効率的かつ安全に運ぶために不可欠なものです。したがって、交通システムおよび関連インフラストラクチャは、道路やその周辺のデータを収集し状態を検知することで、長期的およびリアルタイムの変化に対応する必要があります。交通関連のエンジニアは、このデータを使用して統計情報を構築し、将来のインフラ投資の計画に役立てることができ、ドライバーはこのデータを利用して適切なルートを走行することができます。

    インテリジェントな交通システムの市場は2022年までに636億ドルを超える見込みであることから、この情報の価値は明白です。しかし、交通監視システムがさまざまな条件下で輸送の効率と安全性を高める能力を提供する一方、設計者は以下のようなさまざまなセンシングの課題に直面しています。

    • 位置および速度の管理…
  • 組込みプロセッシング: センシング・アプリケーションに適した内蔵ADC を選択する方法

    Google で「A/D コンバータの選択」と検索すると、何千件もの検索結果が表示されることからわかるように、この作業は、センシング・ソリューションの設計に携わる数多くの設計者にとって、未だに難しい課題となっています。現在は 8 ビット・マイクロコントローラ(MCU)に内蔵された単純な 10 ビット ADC から、GHz レートでの変換が可能な ADC まで、膨大な数の A/D コンバータ(ADC)ソリューションが提供されています。

    特殊なセンシング・フロント・エンドを設計しているような場合を除けば、必要な ADC はおそらく、高い性能を省エネルギーや動作の柔軟性と両立できる内蔵 ADC になるでしょう。この記事では、必要な ADC の絞り込みに役立ついくつかのパラメータを概説していますが、アプリケーション固有のニーズによっては、その他のパラメータの検討も必要になる場合があります。

    • 分解能:これはおそらく最も議論されている ADC…
  • 組込みプロセッシング: 超音波センシング、第1部:効果的かつ改良されたガス流量測定手法

    超音波センシングは、産業用および住居用のガス流量測定分野における新しいテクノロジです。実際、超音波は機械式の流量測定に比べて大幅に低い流量の測定が可能でありながら、消費電力も非常に小さいため、より優れた代替技術となっています。超音波流量計には可動部品がないので、機械的な摩耗による問題も発生せず、製造コストも低く抑えられます。

    超音波ガス・メーター・ソリューションに用いられている主な測定手法は、一般には上流および下流の超音波信号がスレッショルドを超えたタイミングによって測定する、タイム・オブ・フライト測定です。TI のソリューションでは、これらの上流および下流信号を内蔵 A/D コンバータ(ADC)で収集し、デジタル相関によってタイム・オブ・フライトを測定します。その後、体積流量とユーザーが定義可能な流管の幾何的特性により実際の流量を測定します。

    信号の相関がフィルタのように機能するので、この手法はノイズの影響をあまり受けません。また…

  • 産業機器: TIの技術が実現する、手頃でポータブルな次世代超音波診断機器

     1954年に世界で初めてSomascopeが発表されて以来、超音波診断技術は大きな進歩を遂げています。当時、水槽と変換レーダフレームを組み合わせたこの診断機器が『Life』誌に掲載された時、多くの読者を驚かせました。その開発者であるDenver Veterans Affairs Hospital の医師、放射線科医、そして2人の電気技師は、1人の技師を水槽に沈め、無骨なトランスデューサーでその技師の身体に音波を送り、エコーを解析することで、腎臓の2D画像を生成しました。

    超音波は現在、非常に有益な医療器具として利用されています。X線では検知できない無害で非侵襲の音波による生物学的構造体の視覚化は、癌や婦人病、心臓病、理学療法、血管医学など、幅広い分野で応用されています。Somascopeの発表から60年で、電子工学と圧電材料の進歩、ドップラー超音波の統合、より高精度なイメージング技術と急速に進化する高速な処理性能により、超音波検査は飛躍的に進化しました…

  • 組込みプロセッシング: 新しい産業用イーサネット・プロトコル:CC-Link IE Field Basic

    インダストリー4.0に向けたデバイス間通信に対応する産業用プロトコルは数多く存在します。工場内接続のための新しいプロトコルの1つがCC-Link IE Field Basicで、TIはSitara™プロセッサでこのプロトコルへのサポートを開始しました。

     CC-LinkファミリはPROFINETやEthernet/IPなどの一般的なプロトコルと同じように、多数の異なるメーカーのデバイス間通信を可能にするディタミニスティックなオープン・アーキテクチャ・ネットワーク・プロトコルで構成されています。図1はCC-Linkファミリの代表的なアプリケーションを示しています。本稿では同ファミリの産業用イーサネット(IE)ベース製品を採用したCC-Link IEに焦点を絞ります。

    図1:CC-Link IEの代表的な使用例

     CC-Link IEはスター型、ライン型、スター/ライン混合型、リング型構成の1Gbps通信を提供し、CC-Link…

  • オートモーティブ: DLP技術が照らす自動車ヘッドライトの未来

    今日の自動車には、革新的な技術が詰め込まれています。先進的なヘッドアップ・ディスプレイ(HUD)から電動クローザ・システム、映画館と同品質のリア・エンターテイメント・システムにいたるまで、電子機器がもたらす快適さは質と量の両面で、著しく向上しています。

    重要な車載システムの一つであるヘッドライトは、急速な技術的変化の真っ只中にあります。従来のハロゲンやキセノン電球はLED光源に置き換えられ、さらにAFS(アダプティブ・フロントライティング・システム)やADB(配光可変ヘッドランプ)技術の登場により、ヘッドライトはさらに大きな飛躍を遂げるでしょう。

     プログラム可能で高解像度の新しい自動車ヘッドライト・システムは、ハイエンドのセンサとプログラマブル・コントローラを備え、ヘッドランプを水平にしたり、旋回したりすることができ、車両の前方に明るい光を投射する以上のことが可能になります。AFSとADB技術により、ヘッドランプはより明るくシャープになるだけでなく…

  • 組込みプロセッシング: ミリ波レーダ・センサが実現するスマートライフ

    私たちの暮らしは、日々使用するデバイスに備わるインテリジェント機能によって、街中や家の中、日々の暮らしの様々な場面で、スマート化が進んでいます。温度自動調節器やセキュリティ・システム、自動車から、都市の水道/交通管理などのマクロ・システムにいたるまで、よりスマートで互いに接続された世界が実現され、商品やサービスをこれまで以上に効率的に得ることができます。

    これらのインテリジェントなシステムにおいて不可欠なのが、重要なセンサ情報を提供するミリ波技術です。TIは最近、従来のソリューションよりも小型のパッケージで高精度なセンシング能力を提供する、ミリ波レーダ・センサ・ファミリを発表しました。TIのミリ波ソリューションは、CES 2018において「スマートシティ」、「よりよい世界のための技術(tech for a better world)」、「車載インテリジェンス」、「自動運転技術」の各部門のイノベーション賞、Electronic Productsの…

  • オートモーティブ: HEV/EVアプリケーションでの電圧および電流センシング

    車載システムにおける半導体部品の急速な増加により、各サブシステムの主要な電圧や電流を管理する必要性が高まっています。電源電圧、負荷電流、または他の重要なシステム機能を監視することは、障害状態を示し、致命的な障害を防止し、エンド・ユーザーを被害から守るために役立ちます。

    ハイブリッド自動車(HEV)および電気自動車(EV)には、内燃機関によって駆動される従来の自動車と比較して、いくつかの明確な課題があります。HEVおよびEVには、電圧や電流の監視を必要とするシステムが多く搭載され、これにはオンボード・チャージャ(OBC)、バッテリ・マネジメント・システム(BMS)、DC/DCコンバータおよびインバータが含まれます。この記事では、HEV/EVシステム内の電流および電圧を監視するための3つの基本的な回路について説明します。差動アンプ(DA)によるローサイド電流センシング、インラインの絶縁型電流センシング、および減衰DAを使用した高電圧センシングです…

  • オートモーティブ: CMOS技術によって車載アプリケーション用ミリ波センサの消費電力を最小化

    利用するドライバーが増え続けている先進運転支援システム(ADAS)は、より正確なセンシングのニーズを満たすために車載レーダ・センサを利用していますが、これらのセンサの消費電力と放熱は極めて重要な考慮事項となっています。放熱は、センサに必要なヒートシンクや筐体のコスト、および無線周波数(RF)の性能に直接関係します。一般に、消費電力が低いほど、高価な筐体の必要性は減ります。RF性能(雑音指数や位相ノイズによって示される)が優れているほど、より遠距離の物体を適切に検出できます。

    既存のレーダ・ソリューションのほとんどが、2つのチップで構成されています。1枚のプリント基板(PCB)にはRF送受信器チップが搭載され、もう1枚のPCBにはマイコン(MCU)が搭載されて、ベースバンド処理を実行します。設計によっては、各PCB用に電源管理ソリューションも必要であるため、ソリューションのサイズや設計の複雑度が大きくなります。図1に、標準的な2チップのミリ波センシング…

  • アナログ: 様々なドローン機能を支援する超音波センサ

    最近、商用ドローンの人気が高まりつつあり、目を見張るような映像の撮影や、救援物資の輸送、レースにも使用されています。ほとんどのドローンでは、自動飛行、衝突検知など様々な機能を実現するために多様なセンシング技術が用いられています。その中でも超音波センシングはドローンの着陸、ホバリング、地上追跡の支援に利用されています。

    ドローンに備わる着陸支援は、ドローンの最下面から地上までの距離を検知し、その場所が着陸できる安全な場所であるかを確認し、ゆっくりとドローンを下降させる機能です。GPSモニタリングや気圧検知向けのセンシング技術が着陸プロセスを支援する一方、超音波センシングはこのプロセスにおける最も重要で正確な情報源となります。また多くのドローンにはビデオ撮影や地上ナビゲーション向けにホバーや地上追跡モードが搭載されていますが、その際に超音波センシングはドローンを地上から一定の高さに保つために用いられています。このブログでは、ドローン…

  • アナログ: ナノパワーの電力バジェットで高精度の計測を実現する方法:ナノパワー・オペアンプにおけるDCゲイン

    オペアンプの高精度と高速性能は、消費電力に直接関係します。電流消費を削減することでゲイン(利得)帯域幅が減少する一方、オフセット電圧の減少により電流消費は増加します。

    オペアンプの電気特性間に生じるこのような作用の多くは、互いに影響します。ワイヤレス・センシング・ノードやIoTビル・オートメーションなどのアプリケーションで低消費電力化のニーズが高まる中、消費電力を極力抑えたエンド機器で最適な性能を確実に引き出すために、これらのトレードオフを理解することは不可欠です。今回は、高精度なナノパワー・オペアンプのDCゲインにおける電力対性能のトレードオフについて解説します。

    DCゲイン
    まずはオペアンプの典型的な反転ゲイン構成(図1)と非反転ゲイン構成(図2)についてから見ていきましょう。

     

     

     

     

     

     

    図1:反転オペアンプ

    図2:非反転オペアンプ

    これらの構成はそれぞれ、反転と非反転のオペアンプ・クローズドループ・ゲインの方程式…