• モーターの起動から考える BLDC の工程(パート III): 初期位置検出(IPD) ( Start your BLDC journey with motor startup (Part III): Initial position detection (IPD) )

    このブログ・シリーズのパート Iパート II では、モーターの「ブラインド」起動について説明しました。これは平易なアプローチですが、いくつかの制限事項があります。 アプリケーションで、ブレードが前後に移動することが受け入れ不可能な場合(天井換気扇や卓上ファン)や、逆方向の回転が禁止されている場合(たとえば、HDD のモーターや VCM)は、初期位置検出(IPD、Initial Position Detection)について考慮する必要があります。

    IPD は、モーターをスピンアップする前に、モーターの位置を検出する方式です。 逆起電力(BEMF)に関連する方式は、モーターが起動する前は使用できないので、モーターの位置に対する関数として表現できる、モーターの別の特性を見つける必要があります。 モーターの巻線インダクタンス(飽和)は、この要件を満たします。

    モーターの巻線の等価回路は、インダクタと、直列に接続された抵抗です。 電流によって相が駆動されると…

  • モーターの起動から考える BLDC の工程(パート II): パラメータの選択 ( Start your BLDC journey with motor startup (Part II): Choosing your parameters )

    このブログ・シリーズのパート I では、「ブラインド」起動について説明しました。 「ブラインド」起動は、負荷条件が予測可能なアプリケーションでは特に、モーターをスピンアップするうえで非常に実用的な方式です。 ただし、広い範囲のモーターとアプリケーションに対応するには、起動性能を最適化するために複数のパラメータを正しく選択する必要があります。 ここで詳細について説明します。

    パラメータ 1: 開ループから閉ループに移行するスレッショルド(Open to closed loop threshold、 Op2ClsThr)

    例: モーター A は掃除機i用であり、最大 60,000rpm(4 極、2000Hz)で動作します。 このモーターの BEMF は 5mV/Hz です。 モーター B は天井換気扇用であり、最大速度は 150rpm(8 極、10Hz)です。 モーター B の BEMF は 1V/Hz です。

    モーター A の…

  • モーターの起動から考えるブラシレス DC の工程(パート I) ( Start your brushless DC journey with motor startup (Part I) )

    センサレス BLDC モーターは、一般的に広く採用されつつあります。 一方で、多くのシステム設計者がすでに直面してきたように、迅速で信頼性の高い方法でモーターを起動させるのは依然課題になっています。 最も難易度の高い設計上の課題は、速度 0 からの起動です。ほとんどのセンサレス・ソリューションは、位置推定を実行するうえで、逆起電力(BEMF、Back Electromotive Force)検出に依存しているからです。 ただし、BEMF はモーターの速度に比例するので、起動前は 0 にとどまっています。 その結果、初期位置検出(IPD、Initial Position Detection)を実施するために、誘導性センスや相互インダクタンスなど、他の方式を採用する必要があります。または、単純に「ブラインド」(状態検出なし)形式でモーターをスピンアップする(整列と起動)方法もあります。 どちらの方式にも利点と欠点があり、それぞれ特定のアプリケーションで役立ちます…

  • BLDC モーターの簡潔なスピンアップ - パート 1: 5 つの重要な懸案 (Simple BLDC motor spinning 101: Five key concerns)

    BLDC(ブラシレス直流)モーターは、モーターの中では新しい技術であり、多くのエンジニアが継続的に話題にしています。 制御手法が成熟し、標準化されているブラシ付きモーターやステッピング・モーターとは異なり、BLDC モーターを制御するための最善のアプローチは現在も論議の対象であり、そのようなテクノロジーを改良する手法は現在も継続的に試行されています。 三部構成のこのブログ・シリーズでは、業界で一般的に採用されている主要な BLDC モーター制御Iアーキテクチャについて簡単に説明します。 ただし、先に進む前に、数分を費やして次の基礎的な 1 つの質問を考慮してください。 BLDC モーターの利用者は、モーター・コントローラにどのようなことを期待しているでしょうか。 ここで筆者の考えを説明します。

    1.  高い効率。

    利用者がブラシ付きモーターからブラシレス・モーターに移行する主な理由の 1 つは、ブラシの排除に伴う効率の向上です…

  • モーター起動の技法: パート 2 (Motor start-up techniques: Part two)

    このシリーズのパート 1 では、InstaSPIN-FOC™ 内で ForceAngle を使用して起動時にモーターを安定化する方法を説明しました。 今回は、起動の間に十分なトルクを生成し、整列を維持してトルクを最大化する方法に取り組みます。

    十分なトルクの生成

    起動時の負荷が増加すると、設計者が生成することのできるトルクは、電流と、フィールドの整列に基づく大きさになります(角度推定の精度により決定)。

    十分な電流を確実に生成できるようにUSER_MOTOR_MAX_CURRENT 変数を、定格トルクを生成するために必要とされる定格電流より大きい値に設定することが不可欠です。 USER_MOTOR_MAX_CURRRENT は、速度コントローラの(正と負の)最大出力を設定する変数です(この値は、図 1 の Iq PI 電流コントローラで Iq_ref 入力として使用されます)。

    たとえば、最大負荷でモーターを起動したときに次の波形がキャプチャされたとしましょう…

  • モーター起動の技法: パート 1 (Motor start-up techniques: Part one)

    Yisong Lu(イソン・ルー)はブログ・シリーズのパート 123 で、三相同期モーターを対象とした複数の「センサレス」起動技法、特に、DRV10x シリーズの統合型モーター・コントローラにこれらの技法を適用する方法について説明しました。 一方、筆者は同じく三部構成のブログ・シリーズで、TI の高性能ソリューションである InstaSPIN-FOC™ で利用できる起動オプションについて説明する予定です。

    センサレス制御は当初、動作時間の大半が高周波動作(機械的速度)であるアプリケーションに使われていました。 これは主に、ほとんどのセンサレス技法が、最小の周波数で回転している回転子によって生成される逆起電力信号を必要とする、という事実によるものです。 InstaSPIN-FOC ソリューションで使用されている FAST™ ソフトウェア・オブザーバの場合は、この最小動作周波数は他のオブザーバを使用する場合よりかなり低くなり…

  • Motor Drive Forum FAQ(よくある質問)パート 1: モーター・ドライバのデータシートを読み取る方法(Motor Drive Forum Top FAQs Part 1: How to read a motor driver datasheet)

    フォーラムは、インターネットによってもたらされ、すばらしい予想外の成果です。 フォーラムは、多数のユーザーがアイデアを共有し、質問を投げかけ、多様な魅力あるトピックについての話し合いを行うための簡単な方法です。

    エンジニアの皆様がアクセスし、TI のデバイスに関する技術的な質問を、それらの製品を設計したエンジニアなどに対して直接問い合わせることができるように、TI E2E™ コミュニティが用意されています。 この記事の筆者は、TI の Motor Drive(モーター・ドライブ)グループに属するアプリケーション・エンジニアの 1 人であり、Motor Drivers forum(英語)を頻繁に確認して、さまざまな質問に回答し、話し合いに対してコメントを付けています。

    5 部構成のこのブログ・シリーズでは、TI E2E フォーラムで非常に多く問い合わされる質問のいくつかに注目し、それらを解決したいと思います。

    フォーラムに書き込まれる質問の多くは…