• TIマイコンを活用した革新的なアプリケーション事例:TIマイコン設計コンテストの応募作品から (1)

    テキサス・インスツルメンツ・インドでは、エンジニアの技術的な知識を向上させるため、TIのマイコンを活用して設計したアプリケーションを募集するコンテストを実施しました。多くの応募がありましたが、ここではその中から、革新性に富み、日本の設計者の方々のアイディア作りに役立つ設計プロジェクトとして次の3つの応募作品を選び、詳しく解説します。

    設計のヒントとしてお役立てください。

                  ・ロボット・アームを装備した音声制御方式の車椅子

                  ・先進的な駐車場管理システム

                  ・スマート・リモート・コントロール・システム

    今回は、「ロボット・アームを装備した音声制御方式の車椅子」と「先進的な駐車場管理システム」をご紹介します。

    ロボット・アームを装備した音声制御方式の車椅子:
    Boschers(ボスチャーズ)チーム

    このシステムでは、利用者が簡単な音声コマンドを使って車椅子とロボット・アームを操作できます。

    システム全体の制御には、TIのTiva…

  • デュアルバンド接続によるワイヤレス・センサ・ネットワークの管理法

    ビル・オートメーションなどの IoT アプリケーションの最新のトレンドの 1 つがスマート機能の向上です。これにともない、接続対象が増加するとともに、システムのプロビジョニングとメンテナンスの複雑性が増していることが、大きな技術的課題となっています。
    センサ・ネットワーク導入とメンテナンスを簡素化し、コストを低減することは産業機器市場で重要な要件の一つとなっています。Sub-1GHz コネクティビティ・リンクとして採用すれば、2.4GHz の採用時に比べ、スペクトラムの混雑解消、屋外での伝達距離の延長、屋内での性能向上などが可能になり、システムの全般的性能が大幅に向上します。今日では、システム・レベルのソリューションにより、Sub-1GHz IP ワイヤレス・センサ・ネットワークに容易に採用できるようになっており、ビルディング/ファクトリ/リテール・オートメーションのニーズへの対応のほか、全カバー領域でのスター・ネットワーク…
  • 小サイズで、高性能

    日々、メモリ容量とピン・カウントの増加が続く中で、たった数 KB のメモリを搭載したマイコンの開発を継続していくことに対し疑問の声が上がるかもしれません。答えは簡単です。標準ロジックやその他のアナログ回路を代替する低消費電力マイコンを使ったアプリケーションは多数存在します。こうしたマイコン・ベースのソリューションは多くの場合、新しい機能とフレキシビリティを提供し、設計に新たな価値をもたらします。

    例えば、温度センサを A/D コンバータ(ADC)に接続し、数行の制御コードによりシンプルな温度コントローラを生成することが可能です。下の回路図は『LMT 88』温度センサとポテンショメーターを使用したシステムで、ヒーティング素子の制御のためにリレーのスイッチングを行うことにより、シンプルな閉ループ・オン/オフ制御システムの製作を可能にします。

    1:シンプルな温度制御システムのブロック図

    温度センサを紫外線(UV)センサに変更すれば…

  • ヘルス・モニタリング・デバイスに大きな影響を与えるマイコン

    フィットネス製品市場では、何年も前にリストバンド型ヘルス・モニタが登場しその後、スマートウォッチが現れ、より先進的な健康に関するデータをより多く集めることができるようになりました。今や、遠隔医療が着実に普及してきています。実際、遠隔医療はリモート・ヘルス・モニタリング・デバイスにかなり依存し、将来のヘルスケア・コストを削減するための大きな可能性を持った技術であると主張する人もいます。

     ヘルス・モニタ市場が成長するにつれ、機能とリソースが特別に組み合わされたマイコンは、製品開発を容易にし、このデバイスに求められる品質を提供することが必要になるでしょう。ほとんどのヘルス・モニタが非常に小さなデバイスであるため、開発者が最優先すべきは高集積化です。つまり、マイコンおよび関連する回路を一つの小さな筐体に収めなければならないということになります。

    TIの新製品『MSP430FR 2311』を含む新型マイコンには、これまでのマイコン以上の機能を集積しています…

  • スマート・ホームやビルディング・オートメーション向けのWi-Fi + Bluetooth low energy対応ゲートウェイ

    Other Parts Discussed in Post: WL1835

    スマート・ホームやスマート・ビルディングについて、どのようなビジョンをお持ちですか?そして、そのビジョンをどのように実現しますか?本稿では、TIの WiLink™ 8 Bluetooth ®low energy +Wi-Fi®コンボ・モジュール製品(WL183x) と、利用可能な ハードウェアとソフトウェア を使ったワイヤレス・ゲートウェイを迅速に設定できるよう、同システムの使用例をご紹介します。

    ビルディング・オートメーション分野における実現可能なアプリケーションの種類は膨大であり、もちろん無線通信はこの分野で検討すべき、重要な話題です。スマートフォンやタブレットを使い、自宅や仕事先、それにレジャー活動に参加しながら、家庭内の洗濯機、冷蔵庫、暖房機器その他の家電製品にアクセスするなどの単純な使用例があります。この使用例では、単に家庭内のWLAN…

  • 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 25. リアルタイム・クロックとは何ですか? マイコンの時計機能について教えてください。

    ●リアルタイム・クロック(RTC)とはどんなものか

    Q:マイコンの機能で、リアルタイム・クロックという名前のものがありますが、これはどんなものですか。

    A:リアルタイム・クロックは、一言で言えば時計機能です。パソコンやスマートフォンには時分秒、年月日、曜日などを表示するカレンダー時計が必ず備わっています。これはOSが管理していて、ファイルやメールのタイムスタンプにも利用されています。ビデオレコーダなどのデジタル家電、電気釜などの白物家電にも、予約のための時計機能を持つものがあります。これらをリアルタイム・クロック、略してRTCと呼びます。

    Q:時計なら、わざわざ『リアルタイム・クロック』なんて分かりにくい名前を付けないで、ただ『時計』って言ってくれればいいと思うのですが…。

    A:コンピュータの世界では、単に『クロック』と言えばCPUの動作クロックを指すのが普通です。日本語だと『クロック』と『時計』は別の言葉に聞こえるのですが…

  • 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 24. 割り込みっていろいろあるのですか? どんな種類があるか教えてください。

    ●外部割り込みと内部割り込み

    Q:割り込みにはマスクできる割り込み(普通の割り込み)と、マスクできない割り込み(NMI)があると聞きました。でも、それとは別の割り込みの分類もあるそうですね。割り込みについて、いろいろ教えてください。

    A:確かに、割り込みの分類はたくさんあります。その原因の1つは、割り込みというものがどんどん発展を続けていて、割り込みの定義も拡大してきたことにあります。

    ハードウェア

    割り込み

    外部割り込み

    (狭義の割り込み)

    タイマ、汎用I/O、通信I/FなどCPU外部からの割り込み

    マスカブルとノンマスカブルがある

    内部割り込み

    (トラップ、例外)

    アクセス違反、未定義命令、ゼロ除算などCPU内部の割り込み

    ソフトウェア割り込み

    (システムコール)

    プログラムから命令で呼び出す割り込み

    これら全体を例外と呼び、外部割り込みだけを割り込みと呼ぶ場合もある

    元々の割り込みというのは…

  • IoTアプリケーションにサブ 1GHz を使う理由

    IoT(モノのインターネット)市場において、かつてないほど多くのデバイスがすさまじい勢いでクラウドに接続されています。

    ホーム・オートメーションのようなアプリケーションを利用することで、照明を点灯でき、所望の温度を設定し、車道に近づくと直ぐにモバイル・デバイスにあらゆる警報動作の通知を受けられるような、照明、ヒーティング、および警報システムを自宅に備え付けることができます。

    今日、いくつもの異なるワイヤレス接続技術を使って、低消費電力デバイスをクラウドにつなげられるようになりました。どのワイヤレス技術が自分のアプリケーションに一番適しているのか、考える必要性があります。

    サブ1GHz 帯の通信は、全体の接続にわたる堅牢性を備えつつ、長距離通信および低消費電力を実現するという独自の特長を持っています。

    長い到達距離:
    周波数を半分にすると、電波の到達距離は2に:周波数が低いほど到達範囲が拡がります。その減衰は、サブ 1GHz のように低い周波数を可能にする波長に比例しますので…

  • Bluetooth LEを高速化、簡素化、およびセキュアにする新しいBluetooth 4.2認証ソフトウェア

    TIは、Bluetooth® low energyのSDK(ソフトウェア開発キット)の最新版BLE-Stack 2.2ソフトウェアをリリースしました。この新しい無償ロイヤリティSDKは、Bluetooth 4.2認証済みで、高スループット、プライバシーの強化、セキュリティの向上を含む全ての4.2コア・プロトコル・スタック機能を備えています。加えて、同SDKは簡易ネットワーク・プロセッサ機能も備えているため、Bluetooth LEのセキュアなワイヤレス接続を素早く簡単に追加して、どのような組込みシステムもホスト・マイコンに接続できるようにします。これらの特長とさまざまな付属サンプル・アプリケーションを使えば、この新しいSDKはBluetooth LEの製品開発を容易にし、しかもシステム全体のコストを下げることができます。同SDKは、SimpleLink™ 『CC2640』と『CC2650』低消費電力ワイヤレス…

  • 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 23. NMIとはどんな割り込みですか? 割り込みの種類を教えてください。

    ●割り込みマスクとは

    Q:ウォッチドッグ・タイマがマイコンの暴走を検出すると、システムをリセットするか、NMIという特別な割り込みを発生すると聞きました。このNMIって、どこが特別なのですか?

    A:NMIというのは、ノンマスカブル割り込み(Non Maskable Interrupt)の略で、マスクできない割り込みです。割り込みを大別すると、マスクできる割り込みと、マスクできない割り込みの2種類があります。マスクできる方が普通の割り込みです。まず、このマスクという用語を説明しましょう。

    CPUは、通常は一連のプログラムを連続して実行しています。その途中で、何か外部で割り込み要求が発生したときに、あらかじめ用意した割り込みプログラムを起動して実行するのが割り込みの仕組みです。なお、この割り込みプログラムは、一般に割り込みサービスルーチン(ISR)または割り込みハンドラと呼びます。

    割り込みを利用すると、通常のプログラムとは無関係に…

  • 内蔵 ADC の機能を活用し低消費電力を実現するための 12 の方法

    設計の際に消費電力低減のために、マイコン(MCU)に搭載されている内蔵 A/D コンバータ(ADC)のすべての機能を活用していますか? このブログでは、消費電力の低減のため内蔵 ADC を活用する方法を紹介します。

    今回は例として、MSP432P401R マイコンに搭載されている、ADC14 と呼ばれる内蔵 14 ビット ADC を使用します。  ADC14 は、低消費電力アプリケーション向けに設計されており、デューティ・サイクル・アプリケーションによりターンオン時間が短縮されています。 ただし、最小の消費電力を実現するための方法はそれぞれのアプリケーションごとに異なっていることから、ADC14 の調整ノブつまりプログラマビリティについては注意深く選択する必要があります。

    このブログは ADC14 の消費電力と性能のカスタム化を可能にするために、 MSP432™ マイコンのいくつかの重要な機能について取り上げています。

    1. 競合企業との差別化を可能にするマイコン内蔵 ADC のフレキシビリティ活用法 – パート 2

      筆者の最近の記事では、マイコンに内蔵されている  14 ビット A/D コンバータ(ADC)のオーバーサンプリングを実行することで ADC の性能を向上させる方法や、設計のフレキシビリティ向上につながる重要な性能特性について説明しました。 

      今回は、MSP432P401R マイコンの14 ビット ADC (ADC14)の使いやすい機能について説明します。これにより、実際のアプリケーションの要件に応じてフレキシブルにカスタマイズを行うことができるようになります。

      • 使いやすい機能:
        • サンプル・モードと変換モードの選択
        • DMA を使用したブロック処理
        • 内部温度センサ
        • 内部バッテリ・モニタ
        • ウインドウ・コンパレータ
        • 割り込み

      フレキシビリティを最大限活用するためには、時間はかかりますが、それだけの価値はあるので、ADC14 の機能について、まず理解する必要があります。 

      サンプル・モード

      さまざまなサンプル・モードはさまざまなアプリケーションのニーズに対応します…

    2. 競合企業との差別化を可能にするマイコン内蔵 ADC のフレキシビリティ活用法 – パート 1

      MSP マイコン(MCU)に内蔵されている A/D コンバータ(ADC)はプログラマブルな分解能や複数の電力モードなど高いフレキシビリティを提供しています。その理由を考えたことはありますか。 こうした高いフレキシビリティは、スタンドアロン方の ADC では通常、実現が不可能です。 MSP マイコンはさまざまなアプリケーション設計で、性能、使いやすさ、消費電力の最適化を実現し、こうした高いフレキシビリティの活用を可能にします。 最近、筆者は Analog Wire で、MSP432™ マイコンに内蔵されている 14 ビット ADC のオーバーサンプリングによる ADC の性能向上法について解説しました。

      今回は、フレキシビリティが高く、アプリケーションに応じてカスタム化が可能な ADC14と呼ばれる MSP432P401R マイコン の14 ビット ADC の主要な性能特性に着目します。

      • 性能特性:
        • 複数のリファレン…
    3. 未来のリモコンの世界にようこそ!

      Other Parts Discussed in Post: TIDM-CAPTIVATE-REMOTECONTROL

      物理的なボタンは存在しないのに、TV/STBのユーザー・インターフェースを自在に操れるスマートなデザインのリモコンを想像してみてください。それを可能にするのが、静電容量式タッチ技術とボイス・コマンド技術です。ジェスチャー・パッドを使えば、ユーザーは簡単にメニューをスクロールし、ナビゲートすることができます。ジェスチャー・パッドは、方向を示すジェスチャーのほか、シングルタップ、ダブルタップなどのジェスチャーを検出できます。5μA未満で動作する超低消費電力のグリップ検出機能により、ユーザーがリモコンをグリップした時に自動的にバックライトが点灯するようになります。また、加速度センサなどのモーション検知用の追加部品も不要になります。またリモコンのボイス・コマンド機能により、ユーザーはお好みのTV番組をサーチし、録画できるほか…

    4. 5G-より多くの人とモノを結ぶ次世代通信

      つながることで新たな価値が生み出される、コネクテッド・ワールドやネットワーク化社会への移行が加速しています。2013年時点で、世界人口の96%以上が携帯電話を利用し、発展途上国の人口の74%以上がモバイル・ブロードバンドを利用していました。2019年までにワイヤレス・データ・ネットワークのトラフィックはさらに10倍増えると予測され、地球上のほとんどの人がモバイル・サービスを利用するようになります (1,2)

      躍進するM2M(マシン・ツー・マシン)通信との間でも大きな帯域幅の奪い合いになるでしょう。飛行機が国境を超える際に、1台のジェット・エンジンが0.5テラバイト以上のセンサ・データを集め、その多くを各地上局に伝送する必要があることをご存じでしたか。また、ガス・タービン・エンジンの1枚のブレードに付いている1つのセンサが毎日何ギガバイトものデータを生成していることをご存知でしょうか。

      テザリングを伴わない接続に対するニーズは飛躍的に増加しており…

    5. 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 22. マイコンのウォッチドッグ・タイマって何ですか?

      ● プログラムの暴走

      Q: マイコンのI/O機能の中に、ウォッチドッグ・タイマという変わった名前のものがあるのを見つけたのですが、これはいったい何ですか?

      A: ウォッチドッグ・タイマ(watchdog timer)というのは、万一プログラムが暴走したときに、プログラムを終了させるための特別な機能をもったタイマです。名前が長いので、略してWDTと書くこともあります。watchdogとは、「番犬」とか「監視人」という意味の英語です。プログラムが暴走していないかを、いつも見張っていてくれることから、このような名前になりました。

      Q: プログラムの暴走って、よく聞きますが、どういうことですか?

      A: コンピュータは、与えられたプログラムを指定された順番通りに実行するのが仕事です。表示器にデータを出力したり、スイッチなどの状態を入力したりするのも、プログラムが順番通り動いていなければできません。プログラムの動作が誤って不正な無限ループに入ってしまうと…

    6. 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 21. マイコンのデータ格納用メモリについて教えてください。

      ● データ格納用メモリは大部分がSRAM

      Q: マイコンのプログラム格納用メモリはフラッシュメモリが主流だそうですが、データ格納用メモリにはどんなメモリが内蔵されているのですか?

      A: 大部分がSRAMと言って良いでしょう。

       

      図 マイコンの基本構成例


      Q: ここでもDRAMは使わないのですね。どうしてですか。

      A: 最大の理由は、DRAM回路はマイコンの大部分を占める大規模ロジック回路とは半導体製造プロセスが大きく異なるので、マイコンにDRAMを内蔵しようとすると製造コストが高くなってしまうことです。

      もともと、自由に書き換えが可能なRAMの中でDRAMが広く普及したのは、1ビットあたりの製造単価が安く、最も大容量の製品を実現できたからです。1ビットのDRAMセルは、1個のトランジスタと1個のキャパシタで構成される1T1C構成で実現できます。構造が単純なので小型化や高集積化が容易です。ただし、このキャパシタを作るには、トランジスタ主体の大規模ロジックとはかなり異なる製造プロセスが必要です…

    7. 新たな産業機器市場を切り拓く TI のデュアルモード Bluetooth® モジュール

      Bluetooth® と聞いて、何を連想しますか?Bluetooth を使用しストリーミングで音楽を再生するヘッドフォンですか?あるいは、携帯電話に無線データを送信するフィットネス用ステップ・トラッカー歩数計ですか?産業用の用途についてはどうですか?Bluetooth は、オーディオ機器や携帯電話だけにとどまらず、信頼性と堅牢性が極めて重要な分野で新たな用途を広げつつあります。TI のデュアルモード Bluetooth モジュールは、低消費電力、高い柔軟性、使いやすさなどを特長としており、広範な産業用デバイスに最適なソリューションを提供します。TI のアンテナ内蔵デュアルモード Bluetooth モジュール(CC2564MODA)は、既存、新規を問わず、ほとんどの機器に容易に採用でき、消費電力とデータ・ニーズがさまざまに異なる産業機器のワイヤレス化と、最新技術による用途の拡大を可能にします。

       1. ワイヤレス化の必要性

    8. 『MSP430FR2311』マイコンでどんなセンサ・ベース設計においても低消費電力レベルを実現

      低リーク電流で構成可能なトランスインピーダンス・アンプ(TIA)を内蔵した業界初のマイコン

      社会全体的に、小型・軽量・高速な製品が望まれているため、開発者は性能を損なうことなく要求を満たす部品を見つけることに苦労しています。特に、設計者が使うマイコンとそのデバイスに絞り込んだ場合は、簡単ではありません。マイコンを設計者の都合に合わせて妥協することはソリューション志向とは言えません。

      しかし、センシングと計測のアプリケーションにおいて部品点数を最小限に抑えることにより、1個のマイコンがPCBのスペースを最大75%まで削減できるなら、妥協しても時代遅れにならないのではないでしょうか?

      センシングや計測アプリケーション向け『MSP430FR2311』マイコン

      TIの新『MSP430FR2311』マイコンがまさにこれなのです。リーク電流50pAと低いトランスインピーダンス・アンプ(TIA)を内蔵したマイコンですが、従来の電圧/電流センシングのソリューションと比べるとリーク電流は1…

    9. 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 20. マイコンの内蔵メモリにはどんな種類があるの? 何を選べばいいの?

      ● NANDフラッシュが主流

      Q: マイコンが内蔵しているメモリは、DRAMではなく、フラッシュ・メモリなのですか?

      A: そうですね。今のマイコンは、フラッシュ・メモリを内蔵している製品が圧倒的に多いですよ。でも、それとは違うメモリを搭載している製品もありますよ。

      Q: フラッシュ・メモリが多いのですね。でも、フラッシュ・メモリというと、USBメモリとか、SSDとか、カメラやスマートフォンのフラッシュカードが代表的でしょう。それだと、DRAMの代わりではなくて、ハードディスクに似ていませんか。

      A: その考え方は間違っていませんよ。ただし、フラッシュ・メモリには大きく分けて2種類のものがあり、用途や使い方が違うのです。今言った、USBメモリ、SSD、メモリカードで使っているのはNANDフラッシュです。そして、マイコンの内蔵メモリとして使われているのはNORフラッシュです。

      Q: NANDとNOR? メモリの中にロジック回路が組み合わされているのですか…

    10. 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 19. マイコンのアナログ機能って何に使うの? どんなアナログ機能があるの?

      ● マイコンのアナログ機能の用途

      Q: マイコンは、0と1で表された2進数だけを扱うデジタルコンピュータですよね。ところが、「アナログに強いマイコン」があるって聞いたのですが、それはどういうことですか?

      A: マイコンはいろんな装置に組み込まれています。それらの装置には、アナログ機能が必要なものと、そうでないものがあります。

      図 アナログ機能が必要な装置と、そうでない装置

      たとえば、ボタンを押して数式を入力し、結果をLCDに出力する電卓は、基本的にアナログ機能は必要ありません…

    11. Bluetooth Low Energy、ZigBee などの複数の無線規格に対応:IoT 時代を拓く超低消費電力無線通信プラットフォーム

      Other Parts Discussed in Post: CC2650, CC2640, CC2630, CC2650EMK, CC2650STK

      IoT を実現するキーデバイスとして、新しい SimpleLink 超低消費電力無線プラットフォームが登場した。Bluetooth low energy、ZigBee、6LoWPAN、Sub-1GHz、ZigBee RF4CE など複数規格に対応可能な無線通信機能、本体がスリープ中でもさまざまな外付けセンサを制御してデータ収集可能なセンサ・コントローラ機能などを統合した プラットフォームだ。

      世の中に存在するあらゆるモノが自律的にクラウドにつながり、情報をやりとりしたりサービスを利用する IoT(モ ノのインターネット)。そこでは、電源ケーブルや通信ケーブルに束縛されず、いつでも動作可能なマイコン、ワイヤレス通信、センシングの機能を持つ無数の 装置が使われるようになる。テキサス・インスツルメンツ…

    12. ノイズ耐性が高い容量性タッチ・マイコン、FRAM 搭載で超低消費電力も実現

      もはや静電容量方式のタッチ・センサや近接センサは、当たり前の存在になったといって過言ではないだろう。スマートフォンはもちろん、デジタル家電や住宅設備機器(住設機器)、セキュリティ機器、産業機器などにも相次いで搭載されているからだ(図 1)。既存の物理ボタンをタッチ・センサや近接センサに置き換えることで、デザイン性や使い勝手を大幅に向上できる。このことが採用の最大のモチベーションになっている。

      図 1 静電容量方式を採用したタッチ・センサの市場が広がる

      しかし、従来のタッチ/近接センサ・ソリューションを、アプリケーションに無条件で適用できるわけではなかった。なぜならば、課題を抱えていたからだ。その課題を大きく分けると 2 つある。

      1 つは、ノイズに対する耐性を十分に確保できていなかったことである。外来ノイズや静電気放電(ESD)などによって、タッチ/近接センサが誤動作してしまう危険性が高かったという。このためノイズの発生量が大きい環境で使う電子機器への採用は難しかった…

    13. 『MSP430™』マイコンの超低消費電力と 32 ビットの高性能を融合:Cortex®-M4F 搭載で最小電力を実現した『MSP432™』マイコン

      Other Parts Discussed in Post: ENERGYTRACE

      FA、センサ、タッチパネルなどの産業用機器、ビル・オートメーションから民生用機器に至るまで、さまざまな機器で低消費電力への要求が日々厳しくなっている。一方で、リアルタイムのセンサ信号処理、高画質化するユーザー・インターフェイス、機器間の通信などマイコンの高性能化への要求も厳しくなる一方だ。

       これまで、バッテリ動作機器など超低消費電力が要求される用途では、テキサス・インスツルメンツ(TI)の『MSP430™』ファミリが広く使われてきた。『MSP430』マイコンは動作電流とスリープ電流を極小に抑えるとともに、豊富なスリープモードとスリープからの高速復帰という強力な武器を持つ 16 ビットの超低消費電力マイコンだ。必要なときだけ CPU を間欠動作させることで、バッテリの使用時間をきわめて長くできる。

       ただ、最近ではマイコンの処理性能への要求がさらに厳しくなり…

    14. IoT 用途に向けたワイヤレス・マイコン、1 個のコイン型電池で 20 年の動作が可能 [CC1310]

      Other Parts Discussed in Post: CC1310

      世界のエレクトロニクス企業が熱い視線を送る IoT(Internet of Things)市場(図 1)。市場予測では、2020 年には数兆米ドルといった極めて大きなビジネス規模に成長するという見方が多い。将来性は極めて高い。

      図 1 拡大する IoT 市場

       IoT システムを構成する上で欠かせないのは、数多くのセンサ・ノードだ。センサ・ノードを多くの場所に取り付けて、ある物理量(データ)を検出し、無線(ワイヤレス)通信技術を使ってクラウド・コンピュータに送る。集約したデータをクラウド・コンピュータで処理することにより、多くの有益な情報を得るという仕組みである。どのようなデータを集めて、どのような情報を手に入れるのか。そのアイデア次第で、さまざまな新しいサービスやビジネスが生まれると期待されている。

       従って、センサ・ノードには、センサで検出したアナログ信号をデジタル信号に変換する機能や…