Recent Technical Articles
  • アナログ: SAR ADCの評価にコヒーレント・サンプリングとFFTウィンドウを活用(Part 1)

    アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)を評価する際に、多くの設計者がADCのダイナミック特性を解析するために高速フーリエ変換(FFT)法を使用しています。このダイナミック特性テスト手法は、ADCの入力側に純シングルトーン正弦波信号を加え、ADCデータの周波数領域解析を行い、スペクトルに含まれるノイズと歪み成分を数量化します。ADCの特性を調べる際にコヒーレント・サンプリングを用いると、FFTのスペクトル成分を正確に分解することができます。コヒーレント・サンプリング基準に対応できないアプリケーションの場合、サンプリングしたデータにウィンドウ加重関数を適用してスペクトル漏れを最小化します。

    本稿では、ADCのFFT解析に関する2つの重要なコンセプト、すなわちADC評価の際のコヒーレント・サンプリングの基礎と非コヒーレント・サンプリングの影響を考察します。さらに、今後のブログで、コヒーレント・サンプリング、ウィンドウ・サンプリング、最適なウィンドウ選択のための基準について取り上げます…

  • アナログ: デルタ・シグマ変調器とデジタル・フィルタ使用時のシステム・トレードオフ

    デルタ・シグマ変調器の性能について分析する際、メーカーは一般に変調器をローパス・デジタル・フィルタと組み合わせることを前提にしています。その際、選択されるフィルタのタイプは多くの場合、3次sincフィルタです。

    図1に代表的なsinc 3フィルタの周波数応答を示します。

     図1:20MHz、OSR=256のsinc 3フィルタの周波数応答

    sincフィルタは、CIC(カスケード積分コム)フィルタと呼ばれるデジタル・フィルタ・ファミリに属します。CICフィルタはハードウェア構造の効率が非常に高く、他のフィルタ・アーキテクチャと比較しデジタル・ゲート数が相対的に低い形で構築できることから、多くの場合、デルタ・シグマ変調器との組み合わせにより使用されます。図1はsincフィルタ使用時の主なトレードオフ関係を示しています。フィルタ構造はシンプルで実装コストが低くなりますが、こうしたフィルタの遷移帯域はむしろ広くなります。

    モーター・コントローラとパワー…

  • アナログ: デルタ・シグマADCの基礎:デルタ・シグマ・ブロックについて

    デルタ・シグマ(ΔΣ)アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)に関するブログ・シリーズの最初の2回では、デルタ・シグマADCで使用される2つの基本ビルディング・ブロック、すなわち変調器とデジタル・フィルタについて解説しました。しかし、デルタ・シグマADCには、それ以外にも多くのICが使用されています。機能ブロックと並んで、その個々のブロックにはさまざまなタイプが使用されていることから、多数のデルタ・シグマADCがアプリケーションに応じてカスタマイズされています。

    本稿ではこうした機能の多くについて簡単に取り上げるとともに、個々のアプリケーションでどのような役割を果たしているかを説明します。各タイプのデルタ・シグマADCを取り上げ、そのブロック図について解説します。まず、部品点数の少ない回路図を見ていきます。

    ADS 1252

    図1はADS 1252デルタ・シグマADCのブロック図です。変調器とデジタル・フィルタが必須の部品です…

  • アナログ: デルタ・シグマADCの基礎:デジタル・フィルタの機能

    デルタ・シグマ・アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)を使用することにより、設計中のシステムで最高の分解能を実現できるかもしれません。しかし、このアーキテクチャのメリットを最大化するには、測定分解能の向上を可能にするためにADCのデルタ・シグマ変調器とデジタル・フィルタをどのように組み合わせればよいかを理解する必要があります。私が執筆した「デルタ・シグマADCの基礎」シリーズは、測定分解能を向上するために変調器とデジタル・フィルタを組み合わせる方法について解説しています。

    Planet Analogでぜひ全文をご覧ください。

     上記の記事は下記 URL より翻訳転載されました。

    http://e2e.ti.com/blogs_/b/precisionhub/archive/2015/02/10/delta-sigma-adc-basics-how-the-digital-filter-works

    *ご質問は E2E 日本語コミュ…

  • アナログ: デルタ・シグマADCの基礎:デルタ・シグマ変調器について

    デルタ・シグマ・アナログ/デジタル・コンバータ(ADC)はデルタ・シグマ変調器とデジタル・フィルタで構成されます。変調器はアナログ入力をデジタル・ビット・ストリームに変換し、一方、デジタル・フィルタはビット・ストリームを、アナログ入力の大きさを表すデータ・ワードに変換します。

    まず、変調器の働きを見ていきます。図1に示す、1次デルタ・シグマ変調器トポロジの非常に基礎的な分析から開始します。

     図1:デルタ・シグマ変調器内部のブロック図

    変調器は入力のサンプリング間隔を決定する変調器クロックから動作を開始します。入力サンプルと1ビットDAC間の差を積分することにより、変調ループが始まります。

    コンパレータは積分器の値に基づき、次の変調器出力を決定します。1ビットDACはコンパレータの出力状態に応じて、ADCの正負基準電圧に等しい電圧を生成します。変調器出力が1の場合、基準電圧は入力から差し引かれます。変調器出力が0の場合、基準電圧は入力電圧に加えられます…

  • 産業機器: ドローン・メーカーの設計課題を解決

     CES 2017で60を超える出展者がドローン技術のデモを実施し、ドローンがこの世界最大のエレクトロニクス展示会の重要な技術であることが証明されました。

    荷物の配達や航空写真から、セキュリティ/監視モニタリング、通信に至るまで、ドローンはさまざまな方法で利用されています。しかし、ドローン開発者にはバッテリ駆動時間と飛行時間という2つの大きな技術的課題が残っています。空飛ぶロボットの障害物回避を可能にするために、ドローン・メーカーが方向制御やセンシングなどの機能を追加する中で、重量が増えており、ドローンのすでに短いバッテリ駆動時間に、さらにマイナスの影響が加わる可能性があります。

    私たちはドローン開発者が直面している技術的課題のいくつかに対処するため、新しいリファレンス・デザインを提供しています。これらのリファレンス・デザインは、荷物の配達、監視または通信に使用されるクワッドコプターや非軍事用消費者向けドローン、産業用ドローンの飛行時間とバッテリ駆動時間の延長や…

  • 電源 IC: 「インピーダンス・トラック」を使う高精度な電池残量計IC、デジカメやマウスなどの新用途開拓に向けて低コスト版登場

    ノート・パソコンやスマートフォンなどの携帯型電子機器では、1%刻みの残量表示が当たり前だ。これを可能にしているのが「インピーダンス・トラック」と呼ぶ技術を採用した電池残量計ICである。このICの低コスト版が、新用途を開拓すべく登場した。次なるターゲットは、デジカメやマウス、携帯型血圧計だ。電池駆動時間の延長に貢献する。

    ノート・パソコンやスマートフォン、タブレット端末などの携帯型電子機器に欠かせない存在である電池(バッテリ)。この電池を使って動かすことができる時間を「電池駆動時間(バッテリ・ライフ)」と呼ぶ。電池駆動時間が長ければ長いほど、ユーザーの使い勝手は高まる。そこで、電子機器メーカーの開発現場では、「電池駆動時間をいかにして延ばすか」を大きな目標に掲げている。

    しかし、その一方で、携帯型電子機器の高性能化も着実に進んでいる。性能が高まれば消費電力は増える。このため、電池駆動時間はなかなか延ばせないのが実情である。

    それでも…

  • 電源 IC: FPGAやSoC設計を容易にするパワーIC

    産業用電子機器は、より小型の基板、より洗練された形、さらに低コスト化へと向かっています。このようなトレンドがあるがゆえに、電子機器設計者はPCB(プリント回路基板)の小型化と低コスト化を進めなければなりません。FPGA(Field Programmable Gate Array)やSoC (System on Chip)を使う産業用システムでは、小型・低コストに挑戦しながら、多数の電源ラインを必要とします。柔軟なパワーICは、そのようなアプリケーションでかなりのコスト節約と小型化を実現します。

    柔軟なパワーICは、同じパッケージ内に多数のDC-DCコンバータを集積しています。DC-DCコンバータではバック・コンバータや昇圧コンバータ、LDO(Low Dropout)などを組み合わせて、一つのパッケージ内に実装することができます。図1は『LM 26480』がデュアル2MHz高効率1.5Aバック・コンバータとデュアルの300mAのLDOを集積した機能ブロック図の例です…

  • 電源 IC: マルチセル残量計の選択法

     最新の多くのシステムでは、バッテリ・パックから利用できる電力量を計測するために、バッテリ残量計が不可欠になっています。バッテリがシステムの一次電力源であっても、バックアップ電力源であっても、ほとんどのシステムでは信頼性の高い動作が必要になります。多くの場合、バッテリ・パックの残量を見積もることはそれほど容易ではありません。システムに応じて適切なバッテリ残量計を選択するために、理解しなければならない要素はさまざまです。

    マルチセル・バッテリはバッテリ・パック内で1つ以上の直列セルを使用することを意味しています。マルチセル・バッテリはノートPC、ドローン、携帯型医療機器、サーバー・バックアップ・システム、産業機器などに使用されています。

    マルチセル・バッテリ残量計を選択する際の最も一般的な考慮事項は、セルのタイプと化学組成、直列/並列セルの数、充電/放電電流です。それに加え、システム側で使われるか、バッテリ・パック側で使われるかも考慮する必要があります…

  • オートモーティブ: 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート3

    三相インバータのスイッチングは、最小限の電流で必要トルクを得て最大限の効率を達成すると同時に、モータのトルクや速度の安定化のためにデジタル・ロジックで制御する必要があります。通常、これにはマイコンを使用します。限られたデジタル資源(非常に小型のプログラマブル・マイコンやハード・コードASIC)を使った6ステップ(台形波形)の通信制御手法を使った BLDCモータ の制御では、モータにホール・センサを使うことは、合理的で率直なやり方です。

    この6ステップの手法には、トルクの非効率性に関連する、いくつかの制限があります。

    • 6ステップの台形スイッチングでは、ステータ(固定子)の磁界を、6方向のうち1方向にしか発生しないが、一方、一定速度で移動するロータの磁界に同期して、特定の方向でステータの磁界を発生できれば、モータ効率は最大化できる
    • これらの6種類の状態の間でスイッチングすることで、瞬間的に減少し、その後補正されるトルク…
  • オートモーティブ: 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート2

    このブログ記事のパート1 では、EVの補助モータ・システムについて説明しました。これらのほとんどは低電圧で、低レベルから中レベルの消費電流のブラシレス三相DCモータであり、正しい専門知識があれば、機械的なロータ位置を磁気センサなし(センサレス)で制御可能です。これらの三相モータは、DC電源とGNDを3個の並列のレグ(ハーフブリッジ)により切り換える機能を持つ三相インバータで駆動します。モータの各相は各レグの中点につなぎ、直流電源Vdcとグラウンドの間で、相に電流を流せるようにします。

    インバータ・システム内で三相モータの各相を駆動する部品は、複数のMOSFETです。図1に示すように、6個のMOSFETをトーテムポール接続し、3個のハーフブリッジ回路で、各相のコイルをDC電圧とグラウンドに切り換えます。 

    図1: 統合型三相ゲート・ドライバ(DRV 8305) と外付けFET 

    低電圧MOSFETと異なり、高電圧/高電流のFETはマイコンで直接駆動できません…

  • オートモーティブ: 電気自動車システムに搭載される補助モータ製品 パート1

    EV(電気自動車)は、膨大な種類の製品で構成されています。EVは駆動システムに電気モータを使う輸送手段であり(ハイブリッド車は電気と内部燃焼システムを使います)、より広い定義では、電気推進システムと非電気推進システムにおいて、油圧やエンジンからのベルト駆動のシステムを電気モータに置き換えた、「電化」という言葉に拡張できます。この電化は、しばしば、バッテリ管理、バッテリ充電(車内または、車外の充電ステーション)、再生/回復充電、DC/DCコンバータやDC/ACインバータなどの、電力変換サブシステムの需要を生み出します。

    このブログ記事では、モータ制御サブシステムに注目します。EVに対する最初のイメージは、大型車、バスや自動車隊向けの、数kWのAC(非同期誘導、または永久磁石同期モータ)による驚異的な駆動(牽引)モータが、内部燃焼の代替えまたは補助となる動力の源でした。これらの牽引モータは、小さな電気カートに使われる小型の製品も含めて…

  • 組込みプロセッシング: ビルをより環境に優しく、スマート化するIoTとその費用対価値

    建物は、基本的に居住者にとって快適な空間を提供しなくてはなりません。IoT(モノのインターネット)は、建物を居住者にとって単なるハコから、より認識されやすいものにすることで、居住者の環境を配慮し生活コストを抑えながら、より実りあるものに変えてくれます。

    スマートビルを作るには、インテリジェントな照明やHVAC(空調機器)、火災報知器、ビルセキュリティ、そして互いを認識し合い、インテリジェンスを共有するようなエレベータ・システムが必要です。そうすれば、ビルは居住者と電力事業者の両方のニーズに迅速に適応し、対応できるようになります。

    長期的に見た場合、スマートホームやスマートビルは運用面やエネルギー面でコストを節約できますが、短期的にはセンサ・ネットワークやゲートウェイ、クラウド・コンピュータ等のインテリジェントなシステムを使うためには投資が必要です。たとえばビデオ・インターフォンは、従来のドアベルの10倍以上も高価です。スマート…

  • オートモーティブ: ドライバー体験を豊かにする4つの技術トレンド

    交通安全を推進する米国の非営利団体、AAA Foundation for Traffic Safetyの調査によると、米国成人ドライバーは一日当たり最大58分を車内で過ごすそうです。このため、ドライバーが通勤や渋滞に割く車内での時間をより楽しく過ごしたいと思うのは自然なことです。自動車メーカーは、ドライバー体験を豊かにするために絶えず多くの機能を搭載しています。ここでは、触覚的なフィードバック機能のあるタッチスクリーンや、ノブの代替品、スマートガラス、ドライバーへの通知アプリケーションなどの革新的な機能について紹介します。

    ハプティック・タッチスクリーンを搭載
     インフォテインメント用タッチスクリーンには、ボタンを正しく押したかどうかのフィードバックを触覚的に確認できる機能がないものもあります。このハプティック・フィードバック機能を内蔵するスクリーンは、ドライバーがセンタースクリーンを見ている総時間を減らすことで、運転中の安全性を高めることができます…

  • DLP®︎ テクノロジ: モ��イル分光計を可能にする二次元MEMSアレイ

    デジタル・マイクロミラー・デバイス(DMD)を空間的な光変調器として使うことで従来の分光法アーキテクチャの欠点を解消 

    マイク・ウォーカー (Mike Walker) Texas Instruments
    ハッキ・レファイ  (Hakki Refai) Optecks

    近赤外線(NIR)分光法において、携帯のしやすさと、研究室用の高性能の精度や機能をあわせ持つシステムは、大幅に強化されたリアルタイム分析機能を提供します。電池動作で小型のハンドヘルド分光計によって、産業用プロセスのモニタリングや食品の熟成の評価を、フィールドで、より効率的に行うことができるようになります。

    研究室やフィールドで、化学組成の査定で活用される分光計

    ほとんどの分散IR分光計は、同様の道筋で進化してきました。計測する光は、測定の分解能を制御するための格子と組み合わされた、小さなスリットを通過します。この回折格子は、複数の特定の波長の光を、それぞれ一定の角度に反射するよう設計されています…

  • 組込みプロセッシング: MSP430 イベントドリブンの移植  [msp430info soft]

    • MSP 432 イベントドリブン 速度性能」のexampleをMSP430 FR5969に移植して、性能を測定しました。
    • EventLibは、Cの標準命令で作成されていますので、どのマイコンにも移植が可能です。
      EventLibの機能については、下記をご参照ください。

    MSP432 イベントドリブン example
    MSP432 LPM0とLPM3のwait切り替えexample

     

    1 FR5969 EventLibの性能測定

     

    • 末尾添付example FR5969_test_event2を使い、Event_read(irqn):IRQn:0~63を測定し、MSP 432P401と比較した結果は下記の通りです。FR5969では、Optimization level:0(default) -> 1(Local)でも、大きな変化は有りません。

    MPU

    Event_read  eventあり

  • 組込みプロセッシング: 超高感度センサの需要を創出するIoT、ウエアラブル製品その他のアプリケーション

    IoTInternet of Things、モノのインターネット)のほか、数多くのスタンドアロンのポータブル機器や、デジタルカメラ、ICレコーダー、多機能携帯電話や携帯ゲーム機その他のパーソナル電子ガジェットによって、新しいアプリケーションで、次世代の知的機能を備えたセンシングや計測機能への膨大な需要が創出されつつあります。

    これらのアプリケーションの多くは電池動作で、非常に小型のフォームファクタであることから、より高い感度、微小電流の検出、超低消費電力といった、数々の共通した要件を持っています。さらに、進歩したセンサや計測デバイスの多くは出力信号として微小な電流を出力します。この信号は最終的にはデジタルで処理しなければなりません。その前に、微小電流信号を増幅し、電圧信号に変換し、さらにA/Dコンバータでデジタル信号に変換して、ある種のプロセッサに入力しなければなりません。ほとんどの場合、プロセッサにはマイコン製品が使われます…

  • 組込みプロセッシング: メーター読み取りの自動化に役立つSub-1GHz + Bluetooth® low energy と超低消費電力マイコン製品

    私たちの日々の生活の中で、世界資源の低消費化がますます注目されている中で、簡単に節約できる二つの重要な要素は水とエネルギーです。この目標を達成するために導入されたテクノロジの一つに、電力エネルギー、水道やガスなどの資源の消費量と状態のデータを自動的に収集するAMR(自動メーター読み取り)があります。

    このテクノロジよって、ユーティリティ供給事業各社は、メーターの設置場所まで定期的に読み取りに行く必要がなくなるとともに、概算ではなく、ほぼリアルタイムの資源消費量に基づいた課金が可能になります。この情報を元に、ユーティリティ供給事業各社と顧客の両方が、資源の生産と消費を、より良好に制御できるようになります。


    現在、自動メーター読み取りは、ヨーロッパやアメリカなどの全域で運用が開始されています。現代の大多数の住居や商用の建物が資源の消費を自動的に管理しようとする時代となったことから、Energy Policy Act of 200…

  • 産業機器: 正しい産業用Ethernet標準規格の選び方: PROFINET

    正しい産業用Ethernet標準規格の選び方シリーズでは、産業用Ethernetをシステム内で活用しようと決めた設計者向けの記事です。このシリーズでは、アプリケーションへの正しい標準規格の選択に役立てるために、数種類の主要な産業用通信プロトコルを扱います。本ブログでは、ファクトリ・オートメーション向けで主流な産業用Ethernet標準規格の一つであるPROFINET(プロセス・フィールド・ネットワーク)について説明します。PROFINETには異なるバージョンがありますが、ここではPROFINET I/Oについて解説します。

    PROFINETネットワーク・テクノロジはファクトリ・オートメーション、プロセス・オートメーション、ビルディング・オートメーション、自動車の製造ライン、発電所やロボティクスなどに使われています。

    PROFIB US DP Siemensが開発した、RS-485トランシー…

  • 産業機器: 正しい産業用Ethernet標準規格の選び方: PROFI BUS

    正しい産業用Ethernet標準規格の選び方シリーズでは、産業用Ethernetをシステム内で活用しようと決めた設計者向けの記事です。このシリーズでは、アプリケーションへの正しい標準規格の選択に役立てるために、数種類の主要な産業用通信プロトコルを扱います。本ブログでは、PROFI BUSについて説明します。

    このブログ記事のタイトルに誤りがあるのに気付きましたか? PROFI BUS (プロセス用フィールド・バス)は、産業用Ethernetをベースとするものではありません。しかし、既に産業用Ethernetをサポートしている場合でも、このプロトコルは非常に重要なことから、同じタイトルでPROFI BUSを説明することにしました。

    PROFI BUS はシリアル通信をベースとしたフィールド・バス・プロトコルに属し、1993年から使われている成熟した標準規格です。仕様を促進し、適合テストを調整している組…

  • 産業機器: 正しい産業用Ethernet標準規格の選び方: EtherCAT

    正しい産業用Ethernet標準規格の選び方シリーズでは、産業用Ethernetをシステム内で活用しようと決めた設計者向けの記事です。このシリーズでは、アプリケーションへの正しい標準規格の選択に役立てるために、数種類の主要な産業用通信プロトコルを扱います。本ブログでは、EtherCATと最終アプリケーションや、その動作について説明します。

    Beckhoff AutomationEtherCATを開発し、その後EtherCAT2003年から、2,600社もの会員で構成された産業用フィールドバス組織である EtherCAT Technology Group (ETG)の傘下に入りました。

    EtherCATファクトリ・オートメーション 、半導体ツール製品、包装ロボティクスその他に使用されています。

    技術的な面では、EtherCAT は図1に示すように、マスタ-スレーブ・ネットワーク・アーキテクチャです…

  • 産業機器: 正しい産業用Ethernet標準規格の選び方: EtherNet/IP

    “正しい産業用Ethernet標準規格の選び方” シリーズでは、産業用Ethernetをシステム内で活用しようと決めた設計者向けの記事です。このシリーズでは、アプリケーションへの正しい標準規格の選択に役立てるために、数種類の主要な産業用通信プロトコルを扱います。本ブログでは、ファクトリ・オートメーションやプロセス・オートメーションのアプリケーション向けの、5つの主流の産業用Ethernet標準規格の一つであるEtherNet Industrial Protocol (EtherNet/IPまたはEIP)について説明します。

    この産業用Ethernet標準規格は、米国のメーカ各社に一般的に採用されています。EtherNet/IPはRockwell Automationで開発され、現在はIEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)61158…

  • 組込みプロセッシング: MSP432 イベントドリブン optimization [msp432info soft]

    ・ 「MSP432 イベントドリブン example 速度性能」 を optimization level設定でどう性能が変わるか調べました。

    ・ 結果として、Optimization level:0(default) -> 1(Local)に変更すると、大きな速度改善が得られました。

       条件:CCSv6.2 Compiler TIv16.9.1LTS

    ・ Optimization設定は、プログラム構造にも影響しますので、お客様にてご評価お願いいたします。

     

    1 EventLib

     

    1.1 4bitサーチに変更

     

    ・ Event_read(irqn)内部のビットサーチを部分を、8bitサーチから4bitサーチに変更して調べました。

    ・ 前回と同じく、MCLK=24MHzです。

    ・ 末尾添付example Test_event2を使い、Event_read(irqn):IRQn0~63を測定した結果は…

  • アナログ: SAR型A/Dコンバータの入力タイプによる性能比較 Part 2

    逐次比較(SAR)型A/Dコンバータの入力タイプ別の比較を続けます。これまでに、SAR A/DコンバータのSAR型A/Dコンバータの入力タイプの比較SAR型A/Dコンバータの入力タイプの性能比較 パート1 のブログ記事で説明をしました。このブログでは、SAR型A/Dコンバータ内のTHD(全高調波歪み)の原因と、入力タイプによる違いについて説明します。

    THDの影響

    まず、高調波歪みがどのように発生するかを考えます。コンバータは、基本的には非直線システムです。システムが完全に直線であれば、入力xに対して、mx+cの出力が得られるはずです。しかしサンプリング・コンデンサと変換コンデンサ、量子化の非直線動作のため、信号xが非直線システムで処理されることで、A/Dコンバータの出力にはDCと高次の誤差項(x2、 x3、 その他)が発生します。

    出力を周波数ドメインで観測したとき、各高次項 (x2、x3 その他) は不要信号(スプリアス…

  • アナログ: SAR型A/Dコンバータの入力タイプによる性能比較 Part 1

    前のブログ記事SAR型A/Dコンバータの入力タイプの比較 では、SAR(逐次比較)型 A/Dコンバータ製品の、シングルエンド、疑似差動、完全差動の各入力タイプの違いについて説明しました。

    SAR型A/Dコンバータを選択する場合に重要な仕様には分解能、チャネル数、サンプリングレート、電源電圧範囲、消費電力、デジタル・インターフェイスやクロック速度などがあります。SNR(信号-雑音比)やTHD(全高調波歪み)をはじめとしたノイズやACパラメータについてはどうでしょう? これらのパラメータはシステムの総合的な性能を左右することから、当然、SAR型コンバータの入力タイプの選択にも影響します。

     

    各入力タイプへのノイズの影響

    シングルエンド入力: このSAR型コンバータは、信号源との接続に、1本の基板パターンやケーブルと、1個の入力ドライバだけを使います。このA/Dコンバータが、コンバータ自身のグラウンドを基準として入力信号を計測していることは…