Recent Technical Articles
  • 電源 IC: パワー・ステージ・デザイナでパワー・ステージを簡単に設計

    同じ計算を何度も行わなければならなかったことありますか。電気/電子分野の技術者の方々でしたら、きっとそのような経験があるでしょう。手を使った計算は、とても退屈で時間が掛かります。電源管理回路を設計している時、選択した多種多様なトポロジで、多数のパラメータを変更しなければならないですから、反復計算の回数は増えてしまいます。

    新しいパワー・ステージ・デザイナ・ツール3.0 は、17種類の電源トポロジについて、必要な電圧と電流の情報を瞬時に計算します。図1に、このツールがサポートしている各トポロジが示されています。このツールは方程式を活用しており、完全な結合を実現し、ダイオード損失のみ考慮する設定であるため、数値を入力した後は、シミュレーションのように結果を待つ必要はありません。しかし、浮遊インダクタンスや浮遊容量によって発生するリンギングやスパイク波形などの影響によって、最終的な設計で故障が発生しないよう、余裕を持った部品を適切に選択する必要があることに注意が必要です…

  • DLP®︎ テクノロジ: 分光計の設計で、SNRと分解能を素早く柔軟にカスタマイズするためのヒント

    SNR(信号-雑音比)とスペクトル分解能は、あらゆる分光計の設計において、最も重要な性能指標であることはエンジニアに理解されています。

    SNR は、信号電力のノイズ電力に対する比であり、測定しようとするスペクトラムの一貫性を左右する重要な要素です。分解能は、隣接したスペクトラムのピークを分光計が正確に区別できる最小のピーク間距離をnm(ナノメートル)単位で表したもので、これも重要です。正確で役に立つ測定結果を得るためには、サンプルの材料によって、異なるSNRと分解能が必要になります。

    高い柔軟性を備えたTI DLPの DLP® NIRscan™ と DLP NIRscan Nano EVM(評価モジュール)は、農業、製薬、ファクトリ制御やその他の主要産業向けの分光計製品を、特定の使用目的に対して最適化するためのソリューションを開発者に提供します。

    DLPテクノロジを搭載した分光計の性能を特定目的に対して最適化する場合…

  • 産業機器: ビルディング・オートメーションの最新トレンド:ユーザーの快適性を実現するコネクテッド・センサ

    ビルディング・オートメーションのためのワイヤレス・センサ・ネットワークのトレンドを取り上げたこのブログ・シリーズの2回目では、安全性とセキュリティについて説明し、ビルディング・オートメーション・システムへのセンサの積極的導入を牽引する主な 4 つのキー・トレンドを紹介しました。

    • 電力効率
    • 安全とセキュリティ
    • ユーザーの快適性
    • 予防的メンテナンス

    今回の3回目では、ユーザーの快適性について解説します。ビルディング・オートメーションが導入されると、快適な環境が生まれると同時に、各種のセンサ・ノードとの相互作用を通じ、シームレスでモダンなユーザー体験が実現します。

    このシリーズの最初のブログではスタンドアローンの環境センサを取り上げました。センサで複数の部屋または室内の複数ゾーンの温度/湿度をモニタすれば、スマートな空調(HVAC)制御が可能になります。初回のブログではまた、部屋の最大収容人員ではなく、部屋に実際…

  • アナログ: スマート・メーター用電源を設計する上での最大の問題を解決

    スマート・メーターは、何十年も前に開発されたテクノロジを搭載した既存のエネルギー計量用メーターの代替となる次世代メーターです。スマート・メーターは、安全な接続ネットワークを使い、エネルギー使用量のデータを自動的にかつワイヤレスで電気、ガス、水道などのエネルギー供給各社に送信します。このことで、顧客が使用エネルギーの料金概算書を受け取ることや、検針員が顧客の家に入って検針する必要がなくなります。

    スマート・メーターは、従来のIR(赤外線)やIrDA(Inftra-red Data Association)よりも進歩した通信インターフェイスを使うことから、より大容量のメモリや、より強力なマイコンが必要になります。これらの特長によって、消費電力が増加し、容量降下型電源ではなく、スイッチング・モード電源を使う必要があります。単相エネルギー・メーターは、最小で100VACから、最大500VACでの動作を求められます。三相エネルギー・メーターは…

  • 組込みプロセッシング: 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 25. リアルタイム・クロックとは何ですか? マイコンの時計機能について教えてください。

    ●リアルタイム・クロック(RTC)とはどんなものか

    Q:マイコンの機能で、リアルタイム・クロックという名前のものがありますが、これはどんなものですか。

    A:リアルタイム・クロックは、一言で言えば時計機能です。パソコンやスマートフォンには時分秒、年月日、曜日などを表示するカレンダー時計が必ず備わっています。これはOSが管理していて、ファイルやメールのタイムスタンプにも利用されています。ビデオレコーダなどのデジタル家電、電気釜などの白物家電にも、予約のための時計機能を持つものがあります。これらをリアルタイム・クロック、略してRTCと呼びます。

    Q:時計なら、わざわざ『リアルタイム・クロック』なんて分かりにくい名前を付けないで、ただ『時計』って言ってくれればいいと思うのですが…。

    A:コンピュータの世界では、単に『クロック』と言えばCPUの動作クロックを指すのが普通です。日本語だと『クロック』と『時計』は別の言葉に聞こえるのですが…

  • 電源 IC: 同軸ケーブルを介した電源伝送:自動車アプリケーションの設計ガイド

    PoC(Power over coax:同軸ケーブルを介した電源供給)は、自動車関係メーカーが自動車の安全要件を満たすためにカメラやセンサなどを搭載するため、車体の重量を減らしたい、と考える自動車設計者向けのコンパクトなソリューションとなります。しかし、どんなによいソリューションであっても、同じケーブルを通じて電源と送受信チャンネル信号を送る際に問題は起こります。また、システムに電力を供給するカーバッテリは、低温始動時の3Vから負荷ダンプや過渡電圧をクランプする時に42Vなど幅広い電圧範囲を生み出す必要があります。うまく設計された電源回路は、ADAS(Advanced driver assistance system:先進ドライバ支援システム)のような重要なシステムが自動車の全ての状態で動作するために必要です。

    図1は、一般的なFPD(フラット・パネル・ディスプレイ)Link IIIデジタル・ビデオ・インターフェイスを利用するADASシステムの例を示しています…

  • オートモーティブ: よりスマートに、かつ高速に充電ができるEV向け充電ステーション

    Other Parts Discussed in Post: TIDC-EVSE-WIFI

    電気自動車(EV)は市場に新たに登場したものではなく、実際は100年以上前から存在していましたが、その普及は非常に遅いものでした。交通輸送の代替エネルギー源を支援する法規制とあわせて、バッテリの進化がその普及を促進してきました。しかし、EVは広大なネットワークを持つガソリンスタンドとの熾烈な競争に直面しています。ガソリンスタンドが従来の内燃エンジン車に燃料をすぐに注入できるのに対して、EVを完全充電するのには数時間もかかります。

    EV充電器は、その電源および充電能力を元に、レベル1、2、3という三つのタイプに大きく分類されます(表1)。これらの三つのタイプは、充電技術によって、さらに交流(AC)と直流(DC)に分けられます。レベル1のAC充電器は、バッテリセルへの損傷を避けるため低い充電電流を使って低速充電を行います。低速充電はまた、ローカル…

  • 産業機器: 産業用イーサネット規格の正しい選択法:マルチプロトコルのメリット

    Other Parts Discussed in Post: TMDSICE3359, AM3359

    FA(工場自動化)やプロセス自動化、グリッド・インフラ、ビル・オートメーションなどの分野で、シリアル・ベースのフィールドバスに代わり産業用イーサネットが主要な役割を果たすようになっています。産業用イーサネットは、PLC(プログラマブル・ロジック・コントローラ)と現場に設置されたセンサ/アクチュエータ、I/O モジュール、バス・カプラ、ドライブを接続します。

    困ったことに、製造業全般をカバーする共通の産業用イーサネット規格は存在しておらず、30 を超える規格が工場で利用され、現場では規格がばらばらになっています。多くの業界をリードするメーカーが、既存のシリアル・ベースのフィールドバスの一つを元に、自社のニーズに対応した個別の産業用イーサネット規格を定義しています。

    ほとんどの産業用イーサネット規格は個別のデバイス・ソリューションを必要とします…

  • 電源 IC: GaN により、48V から POL 電圧への単一段降圧を実現

    エンタープライズ・サーバ、スイッチ、基地局、ストレージなどのハードウェアの設計者は、マザーボード上での電力密度や効率の向上を常に追求しています。マザーボード上の部品点数の増加やフォームファクタの小型化が進展するにつれ、電源の電力密度向上には制約があり、それが基板面積低減の阻害要因となっています。電源やマザーボードの小型化が進む中で、マザーボードのサイズ低減は 1 つのラックに内蔵できるボード数を増加させ、データセンタのスループットと性能の最大化を可能にします。

     図 1 に示す代表的な通信機器向け電源システムでは...

  • アナログ: クルマの回路設計をもう一段レベル・アップする方法

    温度や圧力、レーダー、カメラ、超音波…これらは最新の自動車に使われるセンサの一例にすぎません。クルマには、他にもオーディオやビデオ、計器、コントロール・ユニットのような複雑なシステムが搭載されています。毎年、クルマにはより多くのシステムが追加され、それらの多くに正常な通信動作が求められます。そして、同じ電圧領域でない場合には、電圧トランスレータ/レベル・シフタが必要となります。

    アナログ・ロジックの世界では、同じ電圧領域を使っていないことで、異なる最大電圧に変換されることがあります。異なるロジック電圧でシステムを通信・動作させる方法はいくつもあります。しかし、それらの多くが方向をコントロールするのに余分のビットを必要とする場合や、一つの方向でしか動作しない場合があります。『LSF0108-Q1』は、方向ピンを必要とせずにさまざまな電圧で動作する自動車品質の双方向変換器(トランスレータ)です。この記事では、『LSF0108…

  • 電源 IC: USB Type-C バージョン1.2-より広い市場に普及するUSB

    USB Type-C は、USBケーブルの両端を単にひっくり返すだけではなく、交換可能にしたことでUSBのエコシステムを大きく変えました。このことは、他のどのようなUSBデバイスを接続するのかにもよりますが、ノート型パソコンやスマートフォン(スマホ)のようなUSBデバイスに異なる特長を持たせることができるようになります。それは、データ・ロールと電力ロールをそれぞれ別々に交換できるからです。USBインプリメンターズ・フォーラムは、USB Type-Cのバージョン1.2をリリースしました。この記事でまとめたバージョン1.1からの重要な変更点がいくつかあります。しかし、最大の違いは、この新しいUSBエコシステムを記述していた用語の変更です。USB Type-Cという用語がこのバージョンで再定義されたとも言えます。

    この新しい用語は、新しいUSBの世界をよりよく表現しており、データ・ロールと電力ロールがお互いに直交関係にあることを明確に強調しています…

  • DLP®︎ テクノロジ: スマート・ホームを対話型プロジェクタで賢くする

    家庭でプロジェクタを使うときに、多くの人はハイテクのホーム・シアターを設置することを思い描くのではないでしょうか。スマート・ホームとIoT(モノのインターネット)が普及することで、私たちは新しい方法でディスプレイを見られるようになります。

    スマート・ホームとIoTは、エアコンやホーム・セキュリティ・システムからレンジ台や冷蔵庫にいたる日常の多くのデバイスに優れた接続性とインテリジェンスをもたらしています。このような次世代のスマート・ホーム・デバイスは、スマート・システムのHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス)を向上させるため、いずれはプロジェクション・ディスプレイ技術が組み込まれると考えられます。

    スマート・ホームのためのプロジェクション・ディスプレイ

    組込み可能で堅牢性が高く、消費電力の少ないプロジェクション・ディスプレイ技術は、スマート・ホーム・デバイスが情報を表示し、ユーザーが簡単なタッチやジェスチャのインターフェイスを使って対話できるようにする強力で有効な方法を提供します…

  • アナログ: USB Type-C: 電子デバイスに新しい標準の採用が実現可能に

    次世代のユニバーサル・シリアル・バスUSB Type-Cの登場により、スマートフォン、ラップトップ、その他の電子デバイス用充電器やアクセサリを複数持ち歩くような日々は終わりを迎えるかもしれません。

    USBTYPE-Cすべての電子デバイスを1本のケーブルで充電することを想像してみてください。たとえば、次のミーティングに向けて運転している間にラップトップのバッテリを充電したり、ノートブックPCを同僚のラップトップに接続するだけでプレゼンテーションを共有したりする場面が考えられます。これらは、電子デバイスの標準になると期待されているUSB Type-Cで実現できることのほんの一部にすぎません。

    私たちはこの革新により世界を前進させるだけでなく、新しいテクノロジを採用するお客様の支援も推進していきます。

    「私たちは、私たちがTIの電子デバイスと共に生活するうえでの新しいパラダイムを創出しています。TIが市場に送り出すICを利用することで、ノートブックPC、ドック…

  • 組込みプロセッシング: 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 24. 割り込みっていろいろあるのですか? どんな種類があるか教えてください。

    ●外部割り込みと内部割り込み

    Q:割り込みにはマスクできる割り込み(普通の割り込み)と、マスクできない割り込み(NMI)があると聞きました。でも、それとは別の割り込みの分類もあるそうですね。割り込みについて、いろいろ教えてください。

    A:確かに、割り込みの分類はたくさんあります。その原因の1つは、割り込みというものがどんどん発展を続けていて、割り込みの定義も拡大してきたことにあります。

    ハードウェア

    割り込み

    外部割り込み

    (狭義の割り込み)

    タイマ、汎用I/O、通信I/FなどCPU外部からの割り込み

    マスカブルとノンマスカブルがある

    内部割り込み

    (トラップ、例外)

    アクセス違反、未定義命令、ゼロ除算などCPU内部の割り込み

    ソフトウェア割り込み

    (システムコール)

    プログラムから命令で呼び出す割り込み

    これら全体を例外と呼び、外部割り込みだけを割り込みと呼ぶ場合もある

    元々の割り込みというのは…

  • 組込みプロセッシング: IoTアプリケーションにサブ 1GHz を使う理由

    IoT(モノのインターネット)市場において、かつてないほど多くのデバイスがすさまじい勢いでクラウドに接続されています。

    ホーム・オートメーションのようなアプリケーションを利用することで、照明を点灯でき、所望の温度を設定し、車道に近づくと直ぐにモバイル・デバイスにあらゆる警報動作の通知を受けられるような、照明、ヒーティング、および警報システムを自宅に備え付けることができます。

    今日、いくつもの異なるワイヤレス接続技術を使って、低消費電力デバイスをクラウドにつなげられるようになりました。どのワイヤレス技術が自分のアプリケーションに一番適しているのか、考える必要性があります。

    サブ1GHz 帯の通信は、全体の接続にわたる堅牢性を備えつつ、長距離通信および低消費電力を実現するという独自の特長を持っています。

    長い到達距離:
    ・周波数を半分にすると、電波の到達距離は2倍に:周波数が低いほど到達範囲が拡がります。その減衰は、サブ 1GHz のように低い周波数を可能にする波長に比例しますので…

  • 産業機器: ビルディング・オートメーションの最新トレンド:安全とセキュリティのためのコネクテッド・センサ

    前回のブログで私は、ビルディング・オートメーション用ワイヤレス・センサ・ネットワークのいくつかのトレンドの中の最初のテーマとして、電力効率を取り上げました。前回取り上げたのは、ビルディング・オートメーション・システムでセンサの採用を加速させている以下の4つのキートレンドです。

    • 電力効率
    • 安全とセキュリティ
    • ユーザーの快適性
    • 予防的メンテナンス

    今回は、ビルディング・オートメーションに使われる各種センサの概要について説明します。ユーザーとその所有物の保護、セキュリティの侵害が起こった場合のユーザーとセキュリティ管理センターに対する通知、あるいは有害な状況の発生の検知などを目的に、ビルディングには各種センサが配置されるようになっています。


    安全とセキュリティの2つのテーマに関しては、空調機器(HVAC)からビルディングのセキュリティや防火システムに至るまで、広範なビルディング・オートメーション機器が使用されています。


    ビルディング…

  • 電源 IC: USB Type-C がすべてを集約する:データ/ビデオ/電源を 1 本のケーブルで伝送可能に

    現在、エレクトロニクス業界の注目度が極めて高い「USB Type-C」(図 1)。これは、「USB Implementers Forum」によって 2014 年 8 月に標準化された新しい規格だ。データ伝送に使うケーブルとコネクタに関する規格であり、既存の USB 3.1 規格に追加される形で登場した。

     図 1 USB/ビデオ/電源を 1 本のケーブルに集約

    注目度が極めて高い理由はUSB 3.1 規格を「大幅に強化」している点にある(図 2)。強化点は大きく 3 つある。1 つは、コネクタの形状/構成に工夫を凝らしたことである。リバーシブル・タイプのコネクタで、裏表を逆に挿してもデータ伝送が可能である。

     図 2 表裏の区別のない接続が可能に
    信号端子の配置を工夫することで実現した。プラグの逆接続を認識し、自動的に対応する。

    2 つ目は、最大データ伝送速度が 10G ビット/秒の USB データのほかに、DisplayPort や…

  • アナログ: 調和のとれた精度:高性能と強化絶縁耐性を達成

    ほとんどの自動車工場では、重いものを持ち上げたり、新車の部品を組み立てたりする際、その作業の多くに自動ロボット技術が使われていることを目にされると思います。


    このような環境では、モータ、ロボットアーム、スイッチ、高電圧装置の全てが調和のとれたシンフォニーのよう動作しなければならないため、精度が最も重要となります。そこでは、誤差は許されず、電気的ノイズの多い環境では協調した動作を図ることは困難になります。しかし、当社は、不協和音の多い産業環境において、高精度なモータ制御のノイズを遮断し、形を整え、フィルタをかける方法を見つけました。

    当社の最新TI Designのリファレンス・デザイン「電流・電圧・温度保護機能を持つ強化絶縁耐性三相インバータ」(『TIDA-00366』)で実証されているたように、当社は設計者が強化絶縁耐性技術を使って、高精度なシステムを作ることを可能にします。

    この設計をコーディネートしている当社のマチス・テイエンツァー…

  • DLP®︎ テクノロジ: モバイル近赤外線分光器で何を測定しますか?

    著者:マイク・ウォーカー(Mike Walker:TI DLP製品事業部開発マネージャ) 

    当初は研究室を中心に利用される技術であった分光器は、それから大きな発展を遂げてきました。ハンドヘルド型の近赤外線(NIR)分光器は小型化と低コスト化がますます進んでいますが、その理由の1つに、MEMS部品を活用した新しいシステム・アーキテクチャの登場があります。では、こうしたハードウェアの最適化によって、今後の分光器産業における簡素化とポータブル化がどのように進んでいくのかを考えてみましょう。

    NIR分光器

    分光器は、測定対象とするサンプルの成分を、さまざまな波長への応答に基づいて特定する、強力なツールとして利用されています。特にNIR分光器は、一般的には780~2500nmの波長域に含まれる光を利用してサンプルを励起します。サンプル材料の物理的状態に応じて反射率測定(固体)と吸光測定(液体と気体)のいずれかを利用することで、スペクトル応答を測定できます…

  • 電源 IC: LDOで消費電力を削減する

    LDO(低ドロップ・アウト)レギュレータは、電源電圧に非常に近い出力電圧でDCリニア電圧レギュレータとして機能できるため、LDOにかかる消費電力を低減させる上で重要な要素となります。この機能は、リニアの電力レギュレータとLDOとの主な違いです。文字通り「低ドロップ・アウト」といった特性はありますが、それ以外にもLDOを実装すると、デザインのサイズと性能面においてもメリットをもたらす特性があります。

    LDOをDC/DCレギュレータと比較した場合の大きなメリットは、スイッチング・ノイズがない点です。このメリットは、センサやタイマ、コントローラなどデバイスの精度に影響を及ぼす出力電圧にリップルが生じるようなアプリケーションでは極めて重要です。LDOのもう一つの重要な特長は、静止電流IQです。常に動作していなくてもよいアプリケーションでは、アイドル期間中、消費電力を極力下げるためにIQを低く抑えるべきです。図1は関連するTI Designsのリファレンス…

  • 組込みプロセッシング: Bluetooth LEを高速化、簡素化、およびセキュアにする新しいBluetooth 4.2認証ソフトウェア

    TIは、Bluetooth® low energyのSDK(ソフトウェア開発キット)の最新版BLE-Stack 2.2ソフトウェアをリリースしました。この新しい無償ロイヤリティSDKは、Bluetooth 4.2認証済みで、高スループット、プライバシーの強化、セキュリティの向上を含む全ての4.2コア・プロトコル・スタック機能を備えています。加えて、同SDKは簡易ネットワーク・プロセッサ機能も備えているため、Bluetooth LEのセキュアなワイヤレス接続を素早く簡単に追加して、どのような組込みシステムもホスト・マイコンに接続できるようにします。これらの特長とさまざまな付属サンプル・アプリケーションを使えば、この新しいSDKはBluetooth LEの製品開発を容易にし、しかもシステム全体のコストを下げることができます。同SDKは、SimpleLink™ 『CC2640』と『CC2650』低消費電力ワイヤレス…

  • 電源 IC: ワイヤレス充電が産業用アプリケーションにもたらす利点

    産業用アプリケーションの設計者は、システムにワイヤレス充電を組み込む利点に気付き始めています。例えばePOS(electric Point-Of-Sale)端末を考えてみます。システムにつながるケーブルやコードがないことで柔軟性が高まるほかに、充電端子の腐蝕の心配もなく、顧客満足度を向上する、より多くのことが可能になります。速度と精度が鍵です。このような型式のポータブル端末が、レストラン、食料品店、大規模小売店、ホームセンターや、レンタカー店などで使われていることを想像してみてください。

    私たちのすべてが納得できることは、このようなポータビリティの向上によって実生活がさらに楽になる、ということでしょう。切断や邪魔になる可能性を持つケーブルがないことで、ユーザーの使用体験を大幅に向上できます。さらには、どの型式のUSBコネクタや、どの電圧・電流定格のAC/DCアダプタをつなぐかなど、ケーブル接続の面倒もありません。使われなくなったエレクトロニクス機器から外した不要なACアダプタで…

  • 組込みプロセッシング: 宮崎 仁のQ&Aでよく分かるマイコン基礎の基礎: 23. NMIとはどんな割り込みですか? 割り込みの種類を教えてください。

    ●割り込みマスクとは

    Q:ウォッチドッグ・タイマがマイコンの暴走を検出すると、システムをリセットするか、NMIという特別な割り込みを発生すると聞きました。このNMIって、どこが特別なのですか?

    A:NMIというのは、ノンマスカブル割り込み(Non Maskable Interrupt)の略で、マスクできない割り込みです。割り込みを大別すると、マスクできる割り込みと、マスクできない割り込みの2種類があります。マスクできる方が普通の割り込みです。まず、このマスクという用語を説明しましょう。

    CPUは、通常は一連のプログラムを連続して実行しています。その途中で、何か外部で割り込み要求が発生したときに、あらかじめ用意した割り込みプログラムを起動して実行するのが割り込みの仕組みです。なお、この割り込みプログラムは、一般に割り込みサービスルーチン(ISR)または割り込みハンドラと呼びます。

    割り込みを利用すると、通常のプログラムとは無関係に…

  • 電源 IC: クラウド・サーバーを絶縁する理由

    Other Parts Discussed in Post: UCC21520

    現在のビット/バイトの時代には、情報伝送と取得は至る所で発生します。これをユビキタスと呼びます。食料品店のレジの列や、列車を待つ列など、どこでもスマートフォンを使ってソーシャル・メディアのアカウント、テキスト・メッセージやemailをチェックできます。しかし、この情報がどこから来たか、考えたことはありますか。その答えは「クラウド」です。クラウドは全世界を結ぶリアルタイムのコネクティビティを陰で支えています。音楽のプレイリストやビデオ・ストリームをはじめとした情報の取得と蓄積は、その舞台裏で行われ、その実行には高電力が必要であるため、クラウド・サーバーがなぜ絶縁されているかを知ることができます。

    まず、クラウド・サーバーの物理的な位置について考えてみましょう。それはデータ・センターです。光ファイバや同軸ケーブル、あるいはワイヤレス通信の基地局が、データ…

  • アナログ: HDMI 2.0:長い配線、コネクタ、およびケーブルできれいな信号を生成する方法

    伝送媒体を通して流れる信号は、ノイズ、歪み、および信号損失の影響を受けます。通常、低いビット・レートではシグナル・インテグリティ(完全性)やフィデリティ(忠実度)を保つことができ、長距離の伝送が可能ですが、DisplayPortやHDMI®(高精細度マルチメディア・インターフェイス)を介した何ギガビット/秒もの高速信号の場合、信号がコネクタを結ぶ長い配線や長いケーブルを流れる際に、通常はシグナル・インテグリティが大きく低下します。このような長い配線により、受信端で信号強度が下がり、歪みまたはノイズの多い信号になったり、標準に準拠しない信号になったりする場合があります。

    リタイマリドライバをDisplayPortやHDMIインターフェイスに使うことによって、ビデオ・システムは、信号品質が改善され、長い配線やケーブル上のシグナル・インテグリティを保つことができるようになります。このことは、信号がケーブルや配線に沿って伝わる距離を長く延ばすことによって…