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  • 組込みプロセッシング: 小サイズで、高性能

    日々、メモリ容量とピン・カウントの増加が続く中で、たった数 KB のメモリを搭載したマイコンの開発を継続していくことに対し疑問の声が上がるかもしれません。答えは簡単です。標準ロジックやその他のアナログ回路を代替する低消費電力マイコンを使ったアプリケーションは多数存在します。こうしたマイコン・ベースのソリューションは多くの場合、新しい機能とフレキシビリティを提供し、設計に新たな価値をもたらします。

    例えば、温度センサを A/D コンバータ(ADC)に接続し、数行の制御コードによりシンプルな温度コントローラを生成することが可能です。下の回路図は『LMT 88』温度センサとポテンショメーターを使用したシステムで、ヒーティング素子の制御のためにリレーのスイッチングを行うことにより、シンプルな閉ループ・オン/オフ制御システムの製作を可能にします。

    図1:シンプルな温度制御システムのブロック図

    温度センサを紫外線(UV)センサに変更すれば…

  • オートモーティブ: ADAS アプリケーションで MIPI® CSI-2 ポート・レプリケーションを使用したセンサ・データのロギング方法

     先進運転支援システム(ADAS)が進化し、自動運転の実用化が近づく中で、マシン・ビジョン、ビューイング、パラレル・プロセッシング、データ・ロギング向けに集約したビデオ・センサ・データのマルチ・コピーに対するニーズが増大しています。

    そのニーズが特に高まっているのが前方視認マシン・ビジョン・カメラで、近い将来に自動運転車の各種カメラ、レーダー、LIDAR センサにも採用される見通しです。その際に共通のアプリケーションとなるのがデータ・ロギングです(図1)。マシン・ビジョン・アプリケーションにおいては、後で分析するために、運転事象に関する生のセンサ・データを記録するのが一般的です。こうしたケースでは、データ記録のために集約した生のセンサ・データの二次コピーを取り、他のコピーをマシン・ビジョン・プロセッシングのために使用するのが効果的です。

    図 1:共通の ADAS データ・ロギング・トポロジー

    集約したセンサ・データの複製

    データの複製はビデオ…

  • 電源 IC: Power Tips:リップルの測定方法が成功を左右する

     スイッチング電源のテストは数多くの異なるテストで構成されていますが、その1つに出力電圧のピーク・ツー・ピーク・リップルのテストがあります。出力電圧リップルとは、直流電流(DC)出力電圧の交流電流(AC)成分です。この成分は、出力コンデンサの等価直列抵抗(ESR)、出力容量での電圧降下、デューティ・サイクル、スイッチング周波数などの複数の要素の組み合わせによって生じます。

    ピーク・ツー・ピーク出力電圧リップルはレール電圧の公差全体に影響するため、数多くのプロセッサ、FPGA(Field-Programmable Gate Array)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、SoC(System-on-Chip)のデータ・シートおよびデザイン・ガイドにおいて目標仕様とされています。

    リップルをどのように測定したかによって、設計要件を満足できるかどうかが決まることもあります。

    図1には…

  • アナログ: TINA- TI によるオペアンプ回路設計入門(第12回) - 入力バイアス電流

    このブログはアナログシグナルチェーンの基本素子とも言うべきオペアンプの基本理論と応用回路技術の習得を目的とします。本格的な電子回路シミュレーション・ツールである TINA- TI を自分の手で実際に動かすことで直感的な理解が得られるよう工夫しています。 今回は、実践編として入力バイアス電流を取り上げます。

    e2e.ti.com/.../8424.TINA_2D00_TI_5F00_OPA_5F00_12_5F00_20161029.pdf← クリックしてダウンロードして下さい

    TINA - TI によるオペアンプ回路設計入門  ← クリックすると ブログ本体 にジャンプします。

  • 電源 IC: DC/DCコンバータのデータシート解説 - 電流制限:第2部

    この2部構成のシリーズの第1部では、降圧型DC/DCコンバータの最大出力電流について説明しました。今回は、昇圧コンバータについて見ていきます。昇圧レギュレータの最大出力電流の計算は降圧の場合よりもいくらか複雑になりますが、それでもまだ単純です。

    昇圧コンバータについて最初に理解すべきことは、平均インダクタ電流と出力電流が、降圧コンバータのようには等しくならないという点です。昇圧レギュレータもインダクタ電流を制御しますが、これはコンバータの入力電流のことであり、出力電流ではありません。このため、昇圧コンバータは通常、最大出力電流ではなく最大MOSFET電流で指定されます。

    たとえば、LMR 62421は“2.1A昇圧型電圧レギュレータ”と呼ばれています。この値はMOSFETスイッチ電流を指したものであり、出力電流ではありません。次の式1を使って昇圧コンバータの最大出力電流を見積もることができます。

    まずは…

  • 電源 IC: DC/DCコンバータのデータシート解説 - 電流制限:第1部

    DC/DCコンバータの電流制限仕様は、この種のレギュレータに慣れていない設計者にとって混乱の原因となることがあります。この2部構成のシリーズでは、このような混乱の一部を解消するために役立つ情報を紹介します。

    まず、DC/DCコンバータのデータシートに記載されている電流制限仕様は、低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)の電流制限仕様と意味が異なります。LDOの場合、電流制限値とは、レギュレータが過負荷状態または短絡状態のときにデバイスから出力に供給する電流の最大値です。降圧コンバータの場合、データシートにはインダクタ電流のピークまたはバレーに対する制限が指定されます。しかし、降圧コンバータの出力電流を表すのは平均インダクタ電流です。次の式1と式2では、インダクタ電流制限を最大出力電流に変換しています。

    例として、24V入力を5V出力に変換するLMR 16030の場合を考えてみましょう。図1に示すように、データシートに記載されている最小ピーク電流制限は3…

  • 電源 IC: Power Tips: 7つのステップでR-Cスナバを計算する

    スイッチング電源でのリンギングは、放射ノイズや伝導ノイズを発生させて回路ジッタや過度の電力消費を引き起こす場合があり、部品へのオーバーストレスの原因になることもよくあります。オーディオ、プロセッサ電源などのアプリケーションや、電磁干渉(EMI)認定を必要とする設計において、リンギングは主な懸案事項となっています。

    たいていの場合は、単純な抵抗-コンデンサ(R-C)スナバを追加して“リンギングを抑制”することで、回路の状態を改善することができます。この記事では、選択すべきスナバ値を正確に導き出すための7つのステップについて簡単に説明します。

    インダクタンスと容量によってインダクタ-コンデンサ(L-C)タンクが形成されているスイッチング・コンバータでは、リンギングが発生することがあります。インダクタンスは部品のリード、プリント基板のパターン、トランスのリークに由来する場合があり、一方で容量は整流器などの非線形部品やトランスの巻線間容量に起因する場合があります…

  • 電源 IC: Power Tips:リップル電流の要件を満たすセラミック・コンデンサの選択方法

    セラミック・コンデンサは、スイッチ・モード電源により生じた大電流をフィルタリングできることから、リップル電流の管理に最適です。最良の結果が得られるように、異なるサイズおよび値のセラミック・コンデンサを並列に使用するのが一般的です。そのような場合、各コンデンサはそれぞれの許容リップル電流定格を満たしていなければなりません。

    ここでは、例として降圧コンバータを使用し、リップル電流の要件を満たすセラミック・コンデンサの選択方法について説明します。(アルミ電解コンデンサやタンタル・コンデンサなどのバルク・コンデンサは、高いESR(等価直列抵抗)を持ちます。これらのバルク・コンデンサは、セラミック・コンデンサと並列に配置した場合に大きなリップル電流を処理する目的には向いていません。そのため、ここでは取り上げないことにします)。

    図1に、降圧コンバータの基本回路を示します。コンバータの入力電流iIN_Dは、大きなリップル電流Δi

  • 電源 IC: Power Tips: 同期整流器のセルフ・ドライブ

    多くの産業用および企業用アプリケーションでは、絶縁型電源が必要になることがよくあります。そのような電源を設計する場合は、帰還制御用のフォトカップラを使用する必要があり、新たなレベルの複雑さが加わることになります。TIのLM 5017/8/9およびLM 5160一定オン時間(COT)同期降圧レギュレータ・ファミリは、固有の機能によってフライバック・トポロジでの使用が可能であり、これによってフォトカップラが不要になるため、設計上の複雑さや、BOMコスト、プリント基板(PCB)のコストを削減できます。

    従来のFly-Buckでは絶縁された出力の整流にダイオードを使用していますが、この方法では電流の増加に伴い出力レギュレーション性能が低下し、効率と熱特性の悪化につながります。効率とレギュレーションを許容できるレベルに維持しながら電流の供給量を最大化する方法の1つとして、同期整流器を使用する方法があります。TI Designsの「LM 5160レギュレータを使用した15W絶縁型…

  • 組込みプロセッシング: ヘルス・モニタリング・デバイスに大きな影響を与えるマイコン

    フィットネス製品市場では、何年も前にリストバンド型ヘルス・モニタが登場しその後、スマートウォッチが現れ、より先進的な健康に関するデータをより多く集めることができるようになりました。今や、遠隔医療が着実に普及してきています。実際、遠隔医療はリモート・ヘルス・モニタリング・デバイスにかなり依存し、将来のヘルスケア・コストを削減するための大きな可能性を持った技術であると主張する人もいます。

     ヘルス・モニタ市場が成長するにつれ、機能とリソースが特別に組み合わされたマイコンは、製品開発を容易にし、このデバイスに求められる品質を提供することが必要になるでしょう。ほとんどのヘルス・モニタが非常に小さなデバイスであるため、開発者が最優先すべきは高集積化です。つまり、マイコンおよび関連する回路を一つの小さな筐体に収めなければならないということになります。

    TIの新製品『MSP430FR 2311』を含む新型マイコンには、これまでのマイコン以上の機能を集積しています…

  • 電源 IC: Power Tips: ユニバーサルAC入力電源を設計するうえでのトレードオフ

    交流電流(AC)ライン電圧は、世界中で電圧と周波数が異なります。米国と日本で供給されている電圧は約100Vですが、ヨーロッパと中国では約220Vの電圧が使用されています。また、世界各地の周波数も、約50Hzから60Hzまでとさまざまです。

    世界中どこででも動作するデバイスがあれば、とても便利です。このコンセプトは、携帯電話の充電器やノートPCの電源アダプタなど、数多くのデバイスで採用されています。しかし、米国からヨーロッパまで飛行機で移動するときに、大画面のTVを持って行くようなことがあるでしょうか。そのような場合、このコンセプトは妥当とは言えません。消費電力が大きく地域間の移動を必要としない大型デバイスには、その入力電圧範囲向けに設計された電源を使用することで優位性が出せます。

    電源を設計する際には、AC入力範囲を含む多数の要因を考慮する必要があります。

    • サイズ
    • コスト
    • 性能
    • 地域の規制表示
    • 電磁干渉(EMI)
    • 力率補正(PFC…
  • 電源 IC: Power Tips: 周波数アナライザを使用した簡単なPSRR測定

    電源除去比(PSRR)とは、入力に印加されたリップル電圧を除去する電源の能力です。通常は高電流パワー・アンプを入力ソースと直列に追加し、それを信号アナライザからの周波数掃引信号で駆動して、VINとVOUTの比率をそれぞれの測定周波数で測定することにより実現します。しかし、このようなパワー・アンプは高価であり、テスト中に容易に損傷します。この記事では、電圧ループ・アナライザに低コストの修正をいくつか施し、パワー・アンプの代わりに利用する方法について説明します。

    テスト構成

    下の図1を見てみましょう。信号トランスによって注入された周波数掃引AC(交流電流)信号をVINで印加するために、入力に対して直列に小さな抵抗を配置しました。信号は、実際にはこの小さな抵抗に印加されます。0.45Ωを得るために、3W定格の0.15Ωの抵抗を3個直列に配置しました。入力を調整したのは、DC/DC(直流/直流)コンバータの入力で目標の3.3Vが得られるようにするためです…

  • 産業機器: パワー・マネジメント IC が鍵となるIoT デバイス用スマート・サーモスタット

    家庭やオフィスで使っているスマート・サーモスタットで、あなたがもっとも重視している機能や性能は何ですか?もし、まだスマート・サーモスタットをお持ちでない場合、新しいサーモスタットに求める性能や機能は何ですか?読みやすい大サイズのディスプレイですか?それとも、あなたにとってもっとも重要なのは電話を使った制御機能ですか?信頼性は?将来もバッテリを交換する必要がないことが重要ですか?

    IoT への接続機能と並んで、私がもっとも重視しているのはパワー・マネジメント機能です。新たな機能が追加されているにもかかわらず、スマート・サーモスタットは消費電力が極めて小さく、多くの場合はこれまでの機種の消費電力を下回っています。これを可能にしているのは、マイコンや電源回路など、サーモスタットで使用されている回路で消費電力低減を可能にする方法が採用されていることです。

    この記事で紹介しているように、この新しい超低消費電力Energy Trace++技術を搭載した…

  • 電源 IC: USB Type-C、給電ミニドックの紹介とその用途について

    TIは今年8月、 USB Type-C™ および「ミニドック」と呼ばれるUSB 給電 (PD) ポート・コントローラとして、『TPS 65982』 および『TPS 65986 』を利用するリファレンス・デザインを発表しました。ここでは「ミニドック」について、および通常のドックとの違いや使用方法について紹介します。

    従来のドックよりコンパクトさを除き、つまりUSB Type-Cケーブルをノートパソコンからミニドックにつないだ時など、ミニドックもバス・ラインに電源が入ると完全に動作しますが、ミニドックはコンセントにつながれることはありません。この新しい特長は、たいしたことではないように思われるかもしれませんが、ご自分の家庭やオフィスを見渡して、何台のUSBドックやハブを壁のコンセントに接続しているでしょうか。たとえばオフィスでは3台、家では5台あったとしても、バス・ラインで電源供給される8チャンネルのUSBハブだけが電力を1~2個のポートに電力を供給でき…

  • 電源 IC: Power Tips: 電源内のスイッチング・ループを見つける方法

    電源のレイアウトは、優れた電源設計を実現するうえで最も重要な要素の1つです。レイアウト方法についての考え方や、その方法が最適だとする根拠は、設計者によって異なります。そのような設計者により異なる様々なソリューションも、実際には問題なく機能するでしょう。よほど乱雑なレイアウトにしない限り、おそらく電源は動作します。

    ただし、次に示すような共通のルールもいくつか存在します。

    • 影響を受けやすい信号のパターンを高速スイッチング信号の下に配置しない、つまりスイッチ・ノードの下に帰還パターンを配置しない。
    • 電源供給用のパターンおよびプレーンは、電源電流に十分対応できる大きさにする。
    • グランド・プレーンは、できる限り1枚の連続したプレーンにする。
    • プレーン間を接続するのに十分なビアを使用する(通常は1A/ビアが初期設定として最適)。

    これらの基本的なレイアウト・ルールに加え、私が必ず最初に実施しているのは、まずスイッチング・ループを特定し…

  • 電源 IC: Power Tips: 出力電圧の増倍

     電圧増倍回路では、簡単な方法により、低電流の高電圧出力を生成することができます。この回路は、数十~数千Vの低電力の高電圧を供給する必要があるプリンタ、センサ、荷電粒子システムなどのアプリケーションに利用できます。フライバック・コンバータや単巻トランスでの昇圧に必要とされるような電源トランスを使用しないため、増倍回路はコストと単純さの両面で望ましい回路です。

    図1は、3つのステージから成る電圧増倍回路の動作を示した回路図です。第1の“倍電圧”ステージは、C1/D1/C2/D2で構成されています。入力電圧VACは、VACに等しいピーク・ツー・ピーク振幅を持つ交流の方形波または正弦波です。VACが負側に-VAC/2までスイングすると、ダイオードD1に電流が流れてコンデンサC1が充電されます(数字��1を囲む緑色の矢印)。ここでは、ダイオードの順方向降下は無視しましょう。VACの、+VAC/2に相当する正の1/2サイクル中に…

  • オートモーティブ: 広入力電圧の降圧コンバータとLDOの複合電源で車載システムに電力供給する方法 - 第2部

    このシリーズの第1部では、高電圧レールで高電流、低電圧レールで低電流を必要とするアプリケーション例を使用しましたが、今回は状況が逆転し、高電圧レールではわずかな電流しか使用せず、一方でシステム負荷の大部分には低電圧レールを通じて電力を供給するようになった場合を考えてみます。

    車載システムの一般的な要件は通信を維持することであり、その通信は多くの場合、5Vで動作し、システムの残りの部分がオフのときでもオンに維持されている、コントローラ・エリア・ネットワーク(CAN)トランシーバで処理されます。つまり、安定した5Vレールに電力を供給するスタンバイ低ドロップアウト・レギュレータ(LDO)にとっては最適なシナリオです。システムの他の部品、たとえばマイコン、メモリ、発光ダイオード(LED)ドライバ、モータ・ドライバ、追加のインターフェイス、ポイント・オブ・ロード電圧レギュレータなどは、通常はこれ以下の電圧で動作しますが、はるかに大きな電流が必要です…

  • オートモーティブ: 広入力電圧の降圧コンバータとLDOの複合電源で車載システムに電力供給する方法 - 第1部

    この数年間にわたり、車載システム設計における車載用電子機器の重要性は、ますます大きくなっています。便利な機能や改良されたインフォテインメント設計、運転支援システム、自動運転車の設計の増加については、既に耳にしているのではないでしょうか。車載システムにおける技術革新を加速するためには、すべての新型デバイスを、より小型かつ厳密な設計要件向けに最適化する必要があります。では、これらのアプリケーションに電力を供給する電源ツリーにとって、この状況にはどのような意味があるのでしょうか?

    この2部構成のシリーズでは、技術革新によって車載用電子機器の市場がどのように変化したか、またTIが降圧コンバータとLDOを1つのデバイスに統合したことで、一般的な設計上の課題をどのように解決できるか、第1部と第2部の両方にわたって説明します。

    ほとんどの車載用電子制御ユニット(ECU)には、システム部品に効率よく電力を供給するために、レギュレーションされたレールが少なくとも2つ必要です…

  • アナログ: クラウド・コンピューティングに信頼性と高速性を提供するメモリ・スイッチ製品

    ローカル・コンピュータのハードディスクの代わりに、データとプログラムをインターネット上に格納するクラウド・コンピューティングがますます普及しつつあります。クラウド・コンピューティングへの移行については、可動性、アジリティ(俊敏性)、セキュリティ、コストや性能など、ほんの少数の重要な利点だけが認識されています。このトレンドの中心にあるのは、サーバと企業向けシステムです。需要が増加するにつれて、企業向けサーバ製品内で処理速度、データ完全性やデータ持続性を向上する新しいテクノロジが必要になってきました。DDR(ダブル・データレート)メモリ・スイッチ製品を使うことで、図1や図2に示すように、これらの複雑なシステムの設計に、コスト効率に優れた新しい手法を取り入れることができます。

    図1: NVDIMM アプリケーションでのメモリ・スイッチの使用例

    NVDIMM(不揮発デュアルインライン・メモリ・モジュール) は、予期しない停電、システム…

  • オートモーティブ: 2MHzのスイッチング周波数を実現するための4つの設計上のヒント

    Other Parts Discussed in Post: TPS54116-Q1

    車載アプリケーションの設計者は、種々のEMC(電磁適合性)要件を満足する必要があり、このためには、適切な電源スイッチング周波数(fsw)を選定することが重要です。多くの設計者は、中波AM放送帯域外の周波数でEMI(電磁妨害)を低減できる400kHzや2MHzを選びます。これらの選択肢のうち、多くの理由から2MHzのスイッチング周波数が推奨されます。本稿では、TIの新しいTPS54116-Q1 DDRメモリ向け電源ソリューションを例として、2MHzのスイッチング周波数で動作させる場合の、いくつかの重要な検討事項について説明します。

    2MHzのスイッチング周波数で動作させる場合の、最初で、最も重要な検討事項はコンバータの最小オンタイムです。降圧型コンバータで、ハイサイド(高圧側)MOSFETをオンにし、その後オフにする場合、この最小オンタイム期間中はオン状態を保たなければなりません…

  • 電源 IC: 部品の数は問題の数

    さまざまな場面で広告を目にするとき、競合製品に比べてどれほど信頼性に優れているかという製品広告が宣伝されていることがあります。自動車メーカから工具メーカ、半導体メーカに至るまで、すべての企業が自社製品こそ本当に信頼できる唯一の製品だと証明しようとして躍起になっています。マーケティングの大部分でそれほど信頼性に重点が置かれているなら、信頼性が重要課題であることは間違いありません。しかし、最も信頼性に優れた製品とはどのようなものなのでしょうか?

    信頼性の最も基本的な定義は、測定値の整合性です。同じ条件下で一貫して同じ結果を出すことができれば、その製品は信頼性が高いことになります。また、単純さも重要な要素の1つです。システム内の部品数を削減すると、1つの部品が誤動作を起こし、システムの性能に悪影響が及ぶリスクも低下します。たとえば自動車産業における最大の懸案事項は、内燃エンジンの信頼性です。エンジンの機能は、何百という可動部品の完璧に同期した相互作用によって成り立っているため…

  • 電源 IC: だまされていませんか?仕様上の電流制限と実際の電流制限の確認

     TIのSIMPLE SWITCHER® LM257xおよびLM259xレギュレータは、DC/DC降圧レギュレーション用の一般的なレギュレータとして、20年以上にわたって利用されています。その人気から、数多くのメーカによって、一見するとSIMPLE SWITCHER製品を真似たような類似製品が作られていますが、これらの類似製品が実際には似ていないという可能性もあります。ここでは、表面的には同じに見える複数の製品の中から使用する製品を選ぶ際に注目すべき点について説明します。

    TIのSIMPLE SWITCHER LM257xおよびLM259xファミリに対するピン互換(P2P)のドロップイン代替デバイスが、他の複数のメーカで製作されています。これらの類似製品(ここでは“レギュレータX”と呼びます)は、SIMPLE SWITCHERと同じ性能および仕様を持つ製品とされています。しかし、表面的にはわかりませんが、レギュレータXにはまったく別のレギュレータ用に設計されたシリコンが使用されており…

  • 電源 IC: 長年にわたって強力な効果を発揮するSIMPLE SWITCHERレギュレータ

    産業用アプリケーションでは、過酷な環境や極端な電気的条件に耐えられる、堅牢で信頼性に優れたパッケージを備えていることが非常に重要です。集積回路の進化と小型化に伴い、パッケージもさらに進化を遂げ、小型化が進んでいます。パッケージが小型化すればソリューション全体のサイズも小さくなりますが、これには欠点もあります。例えば、市場不良となった基板のリワーク作業をすばやく簡単に行うことが難しくなり、システムからの放熱も困難になる可能性があります。

    パーソナル・エレクトロニクス分野で重要とされるソリューション全体のサイズは、多くの産業用アプリケーションではそれほど重要視されません。そのため、産業用最終機器としての寿命を延ばすために優れた放熱能力を持ち、より頑丈かつ堅牢で扱いやすいパッケージを使用するのが最適です。

    集積回路は多種多様な形状とサイズで提供されており、特定の回路への物理的な接続方法もさまざまです。この記事では、TIのLM257x…

  • 組込みプロセッシング: スマート・ホームやビルディング・オートメーション向けのWi-Fi + Bluetooth low energy対応ゲートウェイ

    Other Parts Discussed in Post: WL1835

    スマート・ホームやスマート・ビルディングについて、どのようなビジョンをお持ちですか?そして、そのビジョンをどのように実現しますか?本稿では、TIの WiLink™ 8 Bluetooth ®low energy +Wi-Fi®コンボ・モジュール製品(WL183x) と、利用可能な ハードウェアとソフトウェア を使ったワイヤレス・ゲートウェイを迅速に設定できるよう、同システムの使用例をご紹介します。

    ビルディング・オートメーション分野における実現可能なアプリケーションの種類は膨大であり、もちろん無線通信はこの分野で検討すべき、重要な話題です。スマートフォンやタブレットを使い、自宅や仕事先、それにレジャー活動に参加しながら、家庭内の洗濯機、冷蔵庫、暖房機器その他の家電製品にアクセスするなどの単純な使用例があります。この使用例では、単に家庭内のWLAN…

  • DLP®︎ テクノロジ: 仮想現実がビデオゲームの次にもたらすもの

    今年の夏にデビューしたスマートフォン向けゲーム「ポケモンGO」は、一日当たりのユーザー数が2,000万とも推測され、プレーヤーの熱中ぶりが世界的な話題となっています。

    しかし、このゲームの特に注目に値する点は、AR(拡張現実)を一般コンシューマにまで広げたことです。VR(仮想現実)がコンピュータで作られた、没入型ビジュアライゼーション・システムであるのとは異なり、ARは、視覚的にはユーザーを現実世界に留まらせながら、それに透明な情報コンテンツを重ね合わせて表示します。

    このゲームによって、高解像度の画面とカメラを持つスマートフォンは、ARを一般コンシューマに提供するための完璧なデバイスであることが証明されました。一般コンシューマにとってARを応用したゲームはおそらく初めてのことではなく、すでに体験した人も中にはいるでしょう。例えば、多くの家具小売業者や、ホームセンターではARによるスマートフォン・アプリを提供し、新しいソファやペンキの色を製品の購入前に自宅の部屋で確認できるようにしています…