電気自動車(EV)の普及に向けて走行距離、充電時間、価格といった消費者の懸念に対処するために、世界各国の自動車メーカーは、サイズ、重量、部品コストを増やすことなく、バッテリ容量を増やして充電を高速化する方法を求めています。
バッテリを家庭用ACコンセントや公共または商用の電源設備から直接再充電することを可能にするEVのオンボード充電器(OBC)は、急速に変化を重ねています。充電速度を速める必要性から電力レベルが3...
セル・バランシングは、電気自動車(EV)のバッテリ管理システムの重要な機能の1つであり、車両の走行距離を延長し、バッテリの安全な動作を確保するために役立ちます。また、セル・バランシングは、バッテリ自体の不均衡を修正するためにも必要です。EVのバッテリをはじめとして、すべてのバッテリには、製造プロセスでのミスマッチや動作条件のミスマッチが原因で時間の経過とともに不均衡が生じ、セル間のエージングが不均一になります。
バッテリは、その中で最も弱いセルが完全に放電されてしまうと、他のセルに多くの電荷が残されていたとしても...
この技術記事では、昇降圧コンバータを塩化チオニル・リチウム(LiSOCl2)バッテリと組み合わせたときに、バッテリ寿命を最大限に延ばしつつ、全体として必要な保守およびコストが減少する、5つの事例を見ていきます。
水道メータとガス・メータは、電源として二酸化マンガン・リチウム(LiMnO2)バッテリとLiSOCl2バッテリを使用します。LiMnO2バッテリに比べてLiSOCl2バッテリはエネルギー密度が高くワットあたりの費用対効果が良いため、スマート・メータによく使われます。しかし、LiSOCl2
...より小型のパッケージでより処理性能の高いデバイスがますます求められるようになる中、昨今のどの電源でも最も優先度が高いのが電力密度です。絶縁電源トポロジで最も人気が高いのはフライバックですが、従来のフライバックではリーク電流やスイッチング損失のためにスイッチング周波数に限度があり、ソリューションの小型化もしにくくなっています。
高周波数のスイッチングでも、フライバック・トポロジを最適化して効率をはるかに高められる新しい方法があります。この記事では、ゼロ電圧スイッチング(ZVS)が可能なアクティブ・クランプ...
最新の電力供給ソリューションにおける電力密度の重要性とその価値は、どれだけ強調しても足りません。
高電力密度設計の基本技術をより深く理解するために、この技術記事では高電力密度ソリューションで最も重要な次の4つの観点について説明します。
また、TIと連携し、この4つの観点を支える高度な技術的能力と製品を利用することで、高電力密度を達成する取り組みをどのように強化できるかもお見せします...
電子製品を設計する場合には必ず、最新機能を追加することと、利用可能なスペースにすべてを収めようとすることの、どちらかを諦めることを強いられます。電子設計の進化に伴い、新技術が登場するたびに、より創造性を働かせることが求められてきました。複雑で新しい機能を追加すると同時に電力密度を高めて電源のサイズを縮小することが、最重要課題になっています。この問題はほとんどすべてのアプリケーションに及びますが、特に切実なのは、LED基板の幅やその周辺技術が制限される、LEDテープのようなすでに小型化が進んでいる設計や...
昇降圧チャージャは、バッテリ電圧に対して入力電圧が高いか低いかに関係なく、ほぼすべての入力源からバッテリを充電できることから、近年人気が高まっています。
USB Type-Cが幅広く普及することによる重要なメリットの1つは、ユニバーサル・アダプタの実現と、それに伴う電気電子機器廃棄物の削減への現実的な道筋ができることです。USB Type-Cのコネクタは統一されていますが、従来の5V USBアダプタや5V~20Vの電圧供給能力があるUSB PDアダプタといったように、電力定格と電圧にはまだばらつきがあります...
この技術記事はDan Toothとの共著です。
設計者として、「今度の設計では、2倍の量の部品を半分のスペースに追加コストなしで収めないといけない」といったことはよくあるかもしれません。そのために、最小のPOL(ポイント・オブ・ロード)レギュレータを選択し、費用対効果が最も優れたパッシブ部品を使って、できる限り詰め込んだレイアウトを作りあげました。ここまではいいでしょう。ところが、重要な電源レールの出力リップルを見ると、予想したものと違います。どうなっているのでしょうか。
それではまず、降圧DC...
車載トラクション・インバータ用のゲート・ドライバ・バイアス電源や、ファクトリ・オートメーション・アプリケーション向けフィールド・トランスミッタの4~20mAループ・センサのように、製品ライフ・サイクルの長さが要求される低消費電力絶縁型設計では多くの場合、簡素で信頼性の高い1次側レギュレーション対応(PSR)のマルチ出力フライバック・コンバータが活用されます。PSRフライバックには、以下に示す2つの重要な特性があります。
負の出力電圧を生成する標準的な手法はいくつかあり、一方で出力電圧を動的に調整するよく知られた手法もあります。この技術記事では、シンプルなレベルシフト回路を使ってこの2つの手法をつなぎ合わせる「ミッシング・リンク」について紹介します。
負電圧を出力する電源が必要なアプリケーションとしては、試験および測定、航空宇宙防衛、車載機器、医療機器などがあります。負電圧レールを生成する一般的な方法の1つが、普通の降圧コンバータを、反転昇降圧コンバータとして動かすことです[1]、[2]、[3]。降圧コンバータICのグランド・ピンを負出力電圧ノード(-VOUT)に接続し、インダクタ出力をシステム・グランド(0V)に接続します。図1は、構成例です。出力とフィードバック(FB)ピンの間の分圧抵抗で、出力電圧を設定します。
図1 降圧コンバータを反転昇降圧コンバータとして使用し…
今日の消費者は、ポータブル電子機器をどこにいても充電したいと考えています。例えば、旅行者が飛行機の搭乗前や列車の乗車前の待ち時間に、携帯電話やノートパソコン、ヘッドホンなどを充電している光景は日常的に見られます。しかしデバイスごとに充電方法が異なるため、消費者は複数のアダプタを持ち歩く必要があり、どれがどのデバイスのものかを覚えるのも一苦労です(図1参照)。そのような苦労を最小限で済ませるには、バッテリ充電システムの設計で各種の入力電源からの充電をサポートする必要があります。
USB Type-C PDによる充電を検討する理由
構成や入力電圧範囲が異なる複数のバッテリ駆動デバイスを充電できるシングルチップ・チャージャICを設計することは、複雑なプロセスです。なぜなら、旧来のアダプタはすべてのバッテリ駆動デバイスと互換性があるわけではなく…
お使いのバッテリ・モニタの精度に問題がありますか?
バッテリ・パックとの間で流れる電流の量は、測定されて、さまざまな目的に使われます。例えば、電動工具の着脱可能なバッテリ・パックが誤ってショートすると、大電流が流れ、危険な状態になり得ます。あるいは、掃除機のようなバッテリが組み込まれた電化製品の内部で誤作動が起きた場合にも大電流が流れることがあり、場合によってはその設計で安全に対処できる電流レベルを超えるかもしれません。この2つの例を見ても、電流が過剰なレベルを超えていないか監視し、危険な動作を検知したら回路を切断して電流の流れを中断させる保護デバイス(直列の電界効果トランジスタ、リレー、ヒューズなど)を組み込むことが重要である理由がわかるでしょう。ほとんどの設計では、素早い検知のために、安全性を目的とした電流監視にコンパレータを用いるのが一般的ですが、バッテリ・パック内部のA/Dコンバータ(ADC)によりデジタル変換されたデータを使用する設計もあります…
車載カメラ・モジュールの設計者は、開発期間の短縮を目指す一方で、カメラ・モジュールをさらに小型化しつつ、高い拡張性も確保し、さまざまな種類の画像シリアライザやセンサに再利用できるようにする必要があります。この技術記事では、設計仕様やプラットフォームの拡張性など、車載カメラ・モジュール設計における設計上の重要な課題をいくつか取り上げます。
拡張性の高いPMICを利用して設計を簡素化し、開発期間を短縮
共通した電源設計プラットフォームがあると...
この記事では、お客様からよく寄せられる質問とそれに対する回答をまとめています。
車載用高電圧コンタクタ・エコノマイザに電流モードPWMコントローラを使用する方法について
HEV/EVの高電圧バッテリは、トラクション・インバータへの給電に加えて、ACコンプレッサなど他の高電圧負荷への給電にも使用されます。バッテリを負荷に接続するために、バッテリからの電力ラインは、コンタクタと呼ばれる電子制御の高電圧スイッチを通して配線されます。
図1に示すように、車載用の一般的な高電圧電源基板回路では、バッテリ切断ユニット(BDU)と配電モジュール(PDM)内にコンタクタが使用されています。
図1:HEV/EVの一般的な高電圧電源基板回路で使用されるコンタクタ
高電圧コンタクタは、その内部の低電圧コイルへの電力供給によって電子的に制御されます。低電圧のコンタクタ制御回路は、エコノマイザと呼ばれ、コンタクタ内部の低電圧コイルを駆動し、車両内の低電圧バス…